抜け穴だらけの政治資金規正法改正の“闇” 改悪の根源は「政治部記者」と「立憲国対」の怠慢さ 古賀茂明
■抜け穴だらけの規正法「改悪」法 そして、参議院も全く同じだった。 6月10日の委員会での実質的な審議開始の前日、9日には、 「古賀さん。何だか来週の19日にも参議院で採決して成立しそうだという話がもう出てるんですよ。総理出席の委員会審議と党首討論をやることで、採決を認めるらしいんです。まだ審議は始まってないのに酷いと思いません?」という声が立憲議員から寄せられた。 果たして12日になると、19日に3年ぶりの党首討論を開催するというニュースが流れた。合意したのは自民と立憲の国対委員長同士だ。またもや国対談合。 首相出席の法案審議と党首討論で立憲に政権批判の見せ場を作る。自民にとっては、政権批判のチャンスを与える嫌な話だが、都知事選への影響を最小限に食い止められるし、何よりも、この内容なら、今まで通りの金権政治を続けられるというのが自民側の考えだった。 結局、立憲は最後まで規正法改正案に反対したという形を残しただけで、抜け穴だらけの規正法「改悪」法が成立してしまった。しかも、都知事選前に。 この結果、自民は小池氏の要請がないまま、裏で小池氏を支持する体制を作り、小池勝利の暁には、「自民勝利! 連敗脱出!」とはしゃぎ、小池知事も終わってしまえば怖いものなしで、「応援してくれた全ての方々に感謝」の意を表明して万事めでたしとなる可能性が出てきた。 それにしても、立憲国対委員長がここまで自民に擦り寄るのはなぜか?
■通商産業相が選挙資金を手渡し 普通に考えれば、何か見返りがあるはずだ。 私が官僚の時、時の通商産業相が国会運営に協力してもらうために、選挙期間中に、選挙応援の資金を数十万円単位で候補者に代理人を通じて手渡すのを目撃したことがある。当時の野党議員に渡したのだが、断るどころか「大臣にくれぐれもよろしくお伝えください」と頭を下げたので驚いた記憶がある。 そんな慣習が今も続いているのかは不明だが、巨額の裏金や政策活動費、さらには、官房機密費などは“領収書なし”で使える。過去の政府要人からも官房機密費の国会対策としての支出の証言なども出ている。 今回の規正法改正は、こうした国対政治の闇を継続させるためのものではないかとさえ思えてくる。 今回の「改正」は改正ではない。次の臨時国会では、ゼロから議論をし直して、立憲が提出した理想的な改正案を自民が丸呑みにする「真の改正」を成し遂げてほしい。そうすれば、国対歌舞伎政治も「金の切れ目が縁の切れ目」ということで浄化されるのではないか? そのために一番の近道は、政権交代であることは論を俟たない。
古賀茂明