<斎藤工>「進平は蘇ります!(笑)」“進平ロス”を超えて届けたい思いとは? 「海に眠るダイヤモンド」
一視聴者としては、これまで出征した長男や福岡に疎開した姉妹など、数々を失ってきた荒木家がさらに進平を失ってしまうことを考えると、やはり苦しいですね。特に母であるハルさん(中嶋朋子さん)の心情を考えると、言葉にならない思いでいっぱいです。
◇リナとの最後の別れ「どうしても『荒木リナ』と呼びたいと思った」
--子どもが生まれ、幸せ絶頂のなかでリナと死別することになってしまいましたが、撮影で印象に残っていることは?
使われているかわからないのですが、リナとの最後の別れになってしまうシーンで、進平としてどうしても「リナ」ではなく、「荒木リナ」と呼びたいと思ったんです。塚原あゆ子監督に相談したら「それいいかも」と言ってくださったので、本番だけやってみました。「荒木」という名字が、進平からリナに渡せる最後のものだったのかもしれないなと。
--再び愛する人を失ってしまったリナの悲しさも計り知れません……。
そうですね……。でも、進平の死がただ悔やまれるという以上に、進平が残していくものに意味がある。誠の誕生で命のつながりの一端を担ったということが、進平の最大の役目だったのかもしれません。“もっとリナと生きていきたかった”、“誠の成長を見守りたかった”という思いはあるけれど、荒木家をはじめ、これだけリナと誠を見守ってくれる人たちがいることは、進平を演じた人間としてはネガティブなことばかりではないなとも感じられています。
--展開を踏まえて、野木さんからはどんなお話がありましたか?
野木さんに初めてお会いしたときに、開口一番「死んでもらいます」と言われました(笑い)。釈由美子さんの「お逝きなさい」(ドラマ「スカイハイ」の主人公の決めぜりふ)みたいな口調で。でも、物語の味付けとして死が描かれているのではなく、戦争で亡くなってしまった方々や、原爆の恐ろしさと向き合っているところに、野木脚本の真髄があるのではないかと思います。