耳の近くでチョキチョキ、首元ケープの締め付け苦手…感覚過敏のキッズへ安心を 美容室と支援団体が連携「徐々に慣れて」 薩摩川内
五感からの刺激を過剰に強く感じる「感覚過敏」などにより、美容室や理容室に行くのが難しい子どものために、鹿児島県薩摩川内市の美容室と支援団体が連携してサポートを始めた。全国的にも珍しい試みとみられ、保護者らは歓迎している。 【写真】〈別カット〉頻繁に声をかけながらカットしていく廣石健一郎さん=薩摩川内市隈之城町
取り組むのは美容室「トゥールトロー」と、児童発達支援などを手がける「ことばの教室 そらまめキッズ」。そらまめキッズによると、ハサミの音に敏感だったり、先を見通せないのが不安だったりして、店舗での散髪が難しい子どもは少なくない。就寝中に親が切ったり、訪問サービスを利用したりしているという。 同市の男児(6)もその一人で、数年前から同美容室の訪問カットを利用してきた。同様の環境がない場所での生活を見据えて、同店を訪れた。 徐々に慣れてもらおうと、初回は美容室のソファーでバリカンを触るだけ。2回目以降は大人用の椅子に座って動画を見たり、ケープを着けたりした。約1カ月半後に後ろ髪をカット。同行した保育士が絵付きのカードで流れを伝え、安心させた。 初回から約2カ月後の9月18日、約20分かけて仕上げのカットをした。毎回担当する廣石健一郎さん(48)が頻繁に声をかけ、バリカンを自分の腕に当てて危なくないと伝えた。男児は動画を見て過ごし、終わると「さっぱり」と笑顔を見せた。
そらまめキッズの久保田空さん(43)は、カットが難しい理由は一人一人異なると指摘。「まずは困っている子がいることを知ってもらい、支援の輪が広がってほしい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島