ジョン・メイヤーも登場したオーデマ ピゲの2024年新作発表会「AP ソーシャルクラブ」in ミラノで明かされた注目作を時計ジャーナリストがレビュー
ジョン・メイヤーとの共作に2作目が登場
次々と新作のプレゼンテーションが行われる中、会場が最も沸いたのは、シンガー/ギタリストのジョン・メイヤーが登壇した瞬間だった。時計コレクターとしても名高い彼とのコラボレーションモデルが、実現したのだ。メイヤー曰く「自分だけのためのオーダーメイドとして注文したところ、前CEOのフランソワ-アンリ・ベナミアスから、ぜひコラボモデルとして販売したいと言われたんだ」。かくして誕生した「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー “ジョン・メイヤー”」は、かつてない光を乱反射して煌めく「クリスタルスカイ」と名付けた新ダイヤルが与えられていた。一面に広がるランダムな形状の微細な突起、精密成型した金型によるスタンピング。その上からブルーPVDを施すことで、光に煌めくメタリックな質感を得ている。 そして、この「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー “ジョン・メイヤー”」をもって、薄型自動巻きの傑作Cal.2120をベースとしたCal.5134の生産を終了するともアナウンスされた。これが何を意味するのか? 来年オーデマ ピゲは、創業150周年を迎える。そのアニバーサリーモデルの1つに、新たな永久カレンダー・ムーブメント搭載モデルが登場するのではと、期待に胸が膨らむ。
オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー“ジョン・メイヤー”」
Ref.26574BC.OO.1220BC.02 価格要問い合わせ ムーンフェイズは、レーザー加工でリアルな月の姿を再現した。世界限定200本。 スペック:自動巻き(自社製Cal.5134)、毎時1万9800振動、約40時間パワーリザーブ。18KWGケース(シースルーバック)&ブレスレット、直径41mm、厚さ9.5mm。2気圧防水。4月発売予定
ミラノにできたオーデマ ピゲファンの新たな社交場
ところで、今年のAP ソーシャルクラブがミラノで開催されたのは、新しい「AP ハウス ミラノ」(住所:Via Bagutta 2 20121 Milano Tel.+39 02-7600-3115 10時30分~19時、日曜休)の完成披露を兼ねていたから。世界19都市で展開される「AP ハウス」は、オーデマ ピゲ ファンが集うサロン的な存在で、2017年にまずミラノに誕生した。コンセプトは「ブランドの創業者であるジュール=ルイ・オーデマとエドワール=オーギュスト・ピゲがもしも21世紀の現在を生きていたら、顧客とどう関わるだろうかと想像し、第二の我が家のような存在の家の居心地の良さと人々の絆を最も大切にした空間」である。それが1939年にミラノ初の複数階式駐車場として建てられた、旧ガレージ・トラヴェルシ内に移転したのだ。そのインテリアを、イタリア建築界の巨匠ピエロ・リッソーニが率いる「リッソーニ&パートナーズ」が手掛けた。歴史的建造物の3フロアを、リッソーニはヒゲゼンマイに似た螺旋階段でつないだ。そして内装の随所に、八角形やタペストリーといったオーデマ ピゲを象徴するディテールを取り込んだ。木やガラス、金属といった多彩な素材使いは、リッソーニの真骨頂。各フロアのテラスからは、ミラノを代表する建造物ドォーモが望めるというロケーションも魅力である。イタリア・ミラノに、オーデマ ピゲ ファンの新たな社交場が、誕生した。
Text & Photo/Norio Takagi