m.c.A・T「骨折しながらアルバムを制作したんです」『Bomb A Head!』の大ヒットを経て「死ぬまでに」叶えたい野望
平成のJ-POPシーンに颯爽と登場し、瞬く間に世間にラップを浸透させたm.c.A・T。ハイトーンボイスから繰り出される『Bomb A Head! 』というフレーズは、令和のミュージックシーンにおいても色あせない。今年でデビュー30年目を迎えたm.c.A・Tの謎に包まれた人生の転機とは? 【第5回/全5回】 ■【画像】オレンジが超似合っているm.c.A・Tさん、取材当日のコーデ■ m.c.A・Tといえば、無類の仮面ライダー好きでも知られている。『仮面ライダーゴースト』(2015年放送)に登場した変身ベルト「ゴーストドライバー」の声を担当している。 「『仮面ライダークウガ』(2000年放送)のエンディングテーマを橋本仁(ボーカルユニット『BETCHEN’」のJin))が歌うことになった。それを知ってもう悔しくて、悔しくて! それでJinに“俺も歌えるようにしてくれないかな~”って冗談で言っていたのが始まりですね。 『仮面ライダー555』(2003年放送)のオープニングではISSAが歌っていた。彼も仮面ライダーのすごいファンなんです。俺は戦闘シーンで流れる挿入歌を歌っていた。そこから、仮面ライダーの仕事にだんだん繋がっていったんです」 m.c.A・Tの仮面ライダーへの熱意は止まらない。 「みんな仮面ライダーに変身したいっていうのが夢なんですよ。同じ夢を持っていたISSAは、実際に映画(「劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer」2019年公開)で変身できた。それを見てまた悔しくて(笑)。 でも俺は小柄だから、ライダーに変身するのもおかしいよなって、一人でぶつぶつ言っていたんですけど(笑)。そうしたらついに2015年、変身ベルトの音声を担当することになったんですよ! “俺にとって、仮面ライダーとDA PUMPのオファーにはNOという理由はない! ”と言って快諾しました」
「仮面ライダーに変身するよりも嬉しかった」
しかし、念願だった仮面ライダーの変身ベルトの仕事は大変だったという。 「じつはベルトに使うサンプルボイスが200個くらい必要だったんです。だからレコーディングは大変でした。歌うみたいなボイスも多かったんですよ。のどはきつかったけど、楽しかったですね。全国で俺の声が聞こえるっていうことが仮面ライダーに変身するよりも嬉しかった。それに、歴代のライダーが集まると必ずベルトの声が聞こえるのですごく嬉しいですよね」 m.c.A・Tの音楽人生の転機を、あらためて聞いてみた。 「自分の音楽人生における出会いでありがとうって思うのは、プリンスの音楽との出会いと、ニュージャックスウィング(1980年代中盤にアメリカ合衆国で発生した音楽スタイル)の音を作ったテディー・ライリー(アメリカ出身のミュージシャン・プロデューサー)を知ったことですね。自分にとってすごくハマってしまった音楽だった。その音楽をベースにテンポを変えてみたり、そういう研究ができたことが今の音楽制作の骨子となっているのかなって思う」 同時期にデビューしたTRFと並び、エイベックスでは最長の在籍期間を持つ。しかし、「まだまだです」と笑う。 「30年も活動を続けていれば、大御所と言われてもしかたないですよね(笑)。でも自分としてはまだ全然って思っていますよ。自分よりも若手のアーティストと共演しても、“負けたくない”って思っちゃう(笑)。もちろんプロデューサー気質もあるので、並ぶときにはかならず俺が後ろに下がっていますけどね」