カサビアンのサージ・ピッツォーノが語る新アルバムからステージ衣装、地元レスターまで
ーーライブ映像を観ていると、足元が「コンバース(CONVERSE)」をはじめとしたスニーカーを履かれていることが多く、今日の足元も「ステューシー(STUSSY)」のコラボモデルです。これも一種のこだわりなのでしょうか?
サージ:「コンバース」は、セットアップと合わせたらクールでロックンロールな感じがするし、スキニージーンズにもバギージーンズにも合うし、どんな衣装でも履くだけで全体の統一感が生まれる魔法のようなスニーカーだから大好きなんだ。それに、ステージ上で動きやすいのが何よりも大きなポイントだね。ステージで履きたいブーツもいろいろあるんだけど、動き回ったりジャンプしたりしたら脚を痛めてしまうから(笑)。
ーーフロントマンとして立ち回るようになった2021年以降、フロントマン然としたステージ衣装を意識するようにはなりましたか?
サージ:もともと子どもの頃から洋服が大好きで、ステージ衣装には前々からこだわってきたけど、今はより意識するようになったかな。ファッションは自分のクリエイティビティの一環であり、表現の一種であり、形成する一部であると強く思っている。というのも、母親はいつもスタイリッシュでエレガントだったし、叔母が洋服屋を営んでいたんだよ。彼女は先見の明がある人で、イギリスでは手に入りづらいフランスやイタリアの洋服を仕入れてファッションショーを行ったり、オリジナルのビジュアルを作ったりして、僕は小さい頃から手伝っていたからファッションが自然と自分の一部になったんだ。
偉大なアーティストは、それぞれがオリジナルのファッションスタイルを持っているよね。たとえば、カート・コバーン(Kurt Cobain)に代表されるグランジファッションは、本来はアンチテーゼから生まれたスタイルだけど、彼のカリスマ性もあってクールに変貌した。オリジナルになるためには、全て古着屋で買ったものでもいいし、特にブランドにこだわる必要もないし、何を組み合わせたらコーディネートとして面白いかなんだ。逆を言えば、ファッションセンスがイマイチなアーティストは、音楽的にも思うことがある(笑)。とにかく、クリエイティブなアイデアをファッション的な形に表すことができるなら、より良いことだよ。