ウォール街、富裕層向けオーダーメード商品を一般市民に-投資民主化
ファイナンシャルアドバイザーは、特に「タックス・ロス・ハーベスティング」と呼ばれるテクニックを活用した節税方法としてSMAを売り込んでいる。
運用者は、利益の出ない資産を売却したキャピタルロスで別の資産のキャピタルゲインを相殺することで、税金を抑えることができる。売却した資産の代わりに類似の資産を購入すれば、投資戦略は維持できる。
大学や財団の理事会のメンバーでもあるグリーン氏は、慈善寄付も税務計画の一部にしたいと考えている。SMAを利用すれば、株式を売却せずに直接寄付することが可能だ。
SMAでは、自身の価値観に反する投資を除外したり、特定の企業や業界への投資を減らしたり増やしたりすることもできる。
手数料
しかしながら、ウォール街が「投資の民主化」ともてはやす他の商品と同様に、ほとんどの個人投資家にとっては必要のない追加手数料や複雑さについて専門家は懸念を示している。
SMAを利用するには多くの場合アドバイザーが必要になる。調査会社モーニングスターによると、資産加重ベースで計算した平均手数料は、全体で年約0.64%となっている。
これには、一般的な金融アドバイザーの手数料である約1%は含まれていない。これに対し、非常に節税効果の高いパッシブ型ETFの平均手数料は約0.13%だ。
SMAを顧客に販売する業務に以前従事していたリック・フェリ氏は「アドバイザーや資産運用会社が販売している商品のほとんどは、必要のない人にも売られ過ぎている傾向がある。人々の資産を管理するもっとシンプルな方法がある」と述べた。
それでも、テクノロジーによって既製のファンド商品とオーダーメードのSMAの間の境界線は今後もあいまいになっていくだろう。 すでに人工知能(AI)がその一端を担い始めている。
ニューヨークのブルックリン・インベストメント・グループは、同社のプラットフォームを利用するファイナンシャルアドバイザーの顧客向けにAIを活用してカスタムポートフォリオを速やかに構築し、その管理を支援している。