2024ドラフト戦線のキーワードは「大型投手」 神奈川の名門でも198センチ左腕が覚醒中
自分の体をイメージどおり操れるようになり、瞬発力が向上したことで体内のエネルギーを一瞬で集約できるようになった。藤田は「球速も上がってきましたけど、とくに球威が上がってきた感じがします」と手応えを語った。 【両親ともに身長180センチ超え】 両親から受けた影響も大きい。両親はバレーボール経験者で、ともに180センチを超える長身。バレーボールのスパイクを打つ動作と、投手が腕を振る動作はよく似ている。藤田は時にバレーボールを打つことで、腕の振りを確認しているそうだ。 「ちょっとおかしいな、と思う時は壁に向かってバレーボールを打って動作を確認しています。スパイクを打つ時の音を聞きながら、確認して。親に動作を見てもらうこともありました」 手首を立てて左腕を振る感覚を大事にしているため、あえてスライダーを封印している。ストレートに自信を持てるようになってからはカーブとチェンジアップも比例して精度が向上し、「投球全体のレベルが上がった」と手応えを得ている。 まだまだ底知れぬポテンシャルが眠るなか、右肩上がりに成長を続ける藤田がプロスカウトから評価を受けないはずがない。1学年下には来年のドラフト候補である本格派右腕・福田拓翔(たくと)もおり、今夏の神奈川大会でもバックネット裏から熱視線を浴びるのは間違いないだろう。 これからどんな存在になっていきたいか。最後にそう尋ねると、藤田は少し考えてからこう答えた。 「相模のモットーは『人間性』なので、模範となる人間になりたいです。プレーでもグラウンド外でも、常に人に見られていると思って行動しています。チームのエースとして、行動力を持てる人間になっていきたいですね」 デカくても、動ける。藤田琉生の大きなストライドには、無限のロマンが詰まっている。
菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro