【MLB】 121敗のホワイトソックスが佐々木獲得の大穴に? 背景に元巨人助っ人の名伯楽あり
フアン・ソトら大物の去就が決まり、MLBのストーブリーグでは一層佐々木朗希への注目度が高まっている。ヤンキース、メッツといった錚々たる強豪と相次いで面談を行う中、報道によれば佐々木はホワイトソックスとも面談を行ったとされている。ホワイトソックスは今季歴代最多となる121敗を喫し、今のMLBで“最弱”の球団と言って差し支えない。しかし、候補球団の中では異質にも映るホワイトソックスには、実は佐々木争奪戦の勝算となり得る要素がある。 【特集】2024年オフシーズンの移籍情報まとめ
今季地区優勝を果たしたスター軍団・フィリーズですら、佐々木との面談を行えなかったという報道があったにもかかわらず、まだ再建途上のホワイトソックスが佐々木との面談に進めたのは意外に映る。特に佐々木の代理人は「チームの総合的な成績に注目している」と発言しており、その点でホワイトソックスは非常に厳しい立場にある。今季121敗を喫したホワイトソックスはさらなる主力の放出を進めており、今オフもエースのギャレット・クローシェをトレード放出。マイナーに有望株が着々と揃いつつあるとはいえ、向こう数年は到底優勝を望めないはずだ。 しかし、ホワイトソックスが佐々木にとって魅力的な移籍先足らしめる要素がある。それは佐々木が重視するとされている投手育成システムだ。そして、ホワイトソックスの投手育成システムの根幹を支えているのが、日本球界にも縁があるブライアン・バニスターだ。 バニスターという名前に聞き覚えがあるプロ野球ファンもいるかもしれない。バニスターは2011年に巨人に入団したものの、震災の影響もあって開幕前に退団した経歴がある。その後は引退してコーチとしてのキャリアをスタートさせた。そして、投手コーチとしてのバニスターは、今や球界きっての名伯楽として知られる存在になっている。レッドソックスでアドバイザーとして2018年の世界一に貢献すると、その後移籍先のジャイアンツでも躍進を演出。2021年には2013年から地区連覇を成し遂げていたドジャースを破り、ジャイアンツは地区優勝に輝いた。 ジャイアンツの投手陣から「奇跡を起こす男」と称えられたバニスターは、データ分析を活用した最先端の投手コーチングで多くの投手を復活、覚醒させてきた実績がある。ハイスピードカメラとトラッキングシステムを用いた投手指導の第一人者の一人と言える存在だ。その実績が買われ、バニスターは2023年9月からホワイトソックスにアドバイザーとして加わっている。 バニスターが球団に加入して初めてのフルシーズンとなった今季は、ご存知の通り121敗と目覚ましい成果を上げるに至らなかった。しかし、リリーバーだったクローシェをエース級に育て上げ、韓国球界から獲得したエリック・フェッディ(現カージナルス)を成功に導くなど、ヒットもあった。傘下ではマイナー最高の左腕として評価されるノア・シュルツを筆頭に、多数の有望株投手が育っているのも事実だ。また、ホワイトソックスはアリゾナのキャンプ施設に本格的な“ピッチング・ラボ”を作り上げ、球界有数の投手育成環境が整備されつつある。 ドジャース有利が既定路線となっている佐々木朗希争奪戦だが、ホワイトソックスが意外にも大穴球団となるかもしれない。