父へ届けるフリーを滑りきった大島光翔が2年ぶりの優勝!快勝の江川マリア、今季のテーマは自分超え【東日本選手権】
2位に差をつけ江川マリアが優勝
女子は上位5名が全日本へ進出。 東日本選手権で2度目の優勝を果たした江川マリア。 去年の全日本選手権で11位となり、今シーズンは強化選手として挑む。 ショートでは、冒頭3回転ルッツを完璧に決め、完成度の高い演技を披露し首位発進。 フリーの『トゥーランドット』を壮大な曲に合わせて、伸びやかで美しいスケーティングと質の良いジャンプで観客を魅了した。 去年は優勝を逃し2位だった。涙を流した去年から、2位と20点近く差をつけて圧勝した。 自分との戦いをテーマに挑んだ今大会は、「“自分を超える”ことはまだできていないので、全日本にそこはお預けかな」と振り返った。 「ショートもフリーもどちらも笑顔でしっかり終われるように、去年の自分を超えられるように頑張ります」と話し、3度目の大舞台へ挑む。 2位には三枝知香子が入った。 「去年、全日本選手権に出させていただいて、なかなか自分の進歩を感じることができなくて。もっと強くなりたいと思って、移籍しました」 去年出場した全日本での経験から、MFアカデミーへ移籍し挑む今季。 新たな環境でジャンプの跳び方から見直し、流れのあるジャンプを重点的に練習したという。 ショートでは、水をイメージしたこだわりの衣装で『水百景』を披露。 伸びやかな滑りとノーミス演技で、スピン全てで最高評価のレベル4を獲得し、三枝は3位で折り返した。 フリーでも安定感のあるスケーティングでジャンプもまとめ、ショートとフリーで演技をそろえ3度目の全日本出場権を獲得した。 「うれしさを超えて、次こそは全日本でっていう気持ちです」そう話す三枝の気持ちはすでに全日本へ向かっている。 覚悟の移籍後に挑む大舞台での活躍に期待したい。 3位には平金桐。 昨シーズン、2年間に及ぶケガを乗り越え復帰を遂げた平金。念願の全日本には届かず、1月に現役続行を決意した。 「今年は1年プラスしたことで全然違う緊張感というか、常に全日本を狙っている自分がいて、日々の練習でもすごい緊張感にさいなまれながら過ごしてきました」 ショート5位で挑んだフリーでは、ジャンプを全て着氷し、自身も武器と語るスピン3つで最高評価のレベル4を獲得する。 「演技が終わった瞬間はよしやったぞって思いました」 演技後全日本出場が決まった平金は、全日本への思いをこう語る。 「一年間本当にいろいろな方々に携わっていただいて今の自分があると思う。みなさまにお礼を込めて全日本出られるよって言いたいですし、長らく有名でない私の演技を応援してくださった方には、やっと全日本という舞台に出れるので、そこで見ていただきたい」 念願の夢舞台での彼女の演技に注目だ。 4位は奥野友梨菜。 高校2年生でシニア転向を選択した今季、2度目の全日本出場を勝ち取った。 「高校生でも存在感を出せるように」とショートの曲は『ピンクパンサー』。 スピン全てでレベル4を獲得し、7位につけた。上位5名が全日本出場となる中、迎えたフリーは、ショートに続きスピン3つでレベル4を獲得する。 一押しでぐんぐん伸びるスケーティングと細部の動きまで美しい表現力で、演技構成点はトップに次ぐスコアをマークした。 「今年の目標が全日本選手権に進んで、フリーに進出すること」 見事全日本出場の目標を達成した奥野が次に見据えるのは、前回叶わなかったショート通過だ。シニアで心新たに、全日本の大舞台に挑む。 5位に髙橋舞。 昨季大学進学を機に拠点を関東から東京へ移した。シニア2年目の今季は、強豪集う東京ブロックで6位など好調の中で挑んだ今大会。 ショートでジャンプの転倒が響き、9位と出遅れてしまう。それでもフリーで会心の演技を見せる。ノーミス演技でフリーのみで3位と巻き返し、全日本への切符をつかみ取った。 「一番大事な東日本で100点を超えられて、とっても嬉しくてちょっと涙が出ました」と、大一番で実力を発揮した髙橋。 新フリー『ラヴェンダーの咲く庭で』のみどころはコレオシークエンスのイーグル。初の全日本でも笑顔で滑ると意気込んだ。 今季で引退を表明している吉岡詩果は、ラストの東日本選手権となった。 「自分が想像していた東日本とは大きくかけ離れてしまった演技だった」と振り返った吉岡は、フリーの2本目のジャンプで転倒。その後なんとか立ち上がったもののジャンプを跳ぶことはできなかったが、会場の温かな拍手を後押しに最後まで滑り切った。 リンクを降りた後は自力では歩行できない状態だったが、氷上では最後まで笑顔を絶やさなかった。結果は23位だった。 「夏から少しずつ痛くはなっていたが、それでも練習を続けていた。東日本までは持ってほしいという思いで練習していたが、東日本の前にも全然練習ができなくなっていた。今日も2回転ジャンプは跳ぼうと思ったが、フリップで転んだときに力が入らなくなりジャンプは跳べませんでした」 8月頃から膝の痛みが悪化したという吉岡。関東選手権で5連覇を達成したが、吉岡の足は限界に達していた。 「最後までスケートを楽しむことは忘れずに滑れたと思います」と振り返った。 7歳でスケートを始めた吉岡は、2018年のジュニアグランプリシリーズでは3位に入った実力者だ。 ケガに悩まされることも多かったスケート人生だが、最後まで諦めなかった。「今後もスケートに携わりたい」とスケートへの情熱を絶やさない彼女の今後を応援したい。 【シニア女子】 1位 江川 マリア(明治大学)185.77点 2位 三枝 知香子(日本大学)160.07点 3位 平金 桐(法政大学)150.84点 4位 奥野 友莉菜(駒場学園高校)149.94点 5位 髙橋 舞(法政大学)148.37点
フィギュアスケート取材班