昔の冷遇からは信じられない? 日本アニメはどうやって社会的地位を高めてきたのか
曲の扱いも今と昔では違う
現在の日本のアニメは世界からも絶えず注目され、原作サイドやTV局、音楽方面などでも、重要なポジションにいます。しかし、かつてアニメは子供向けのものとされ、軽視されていました。アニメはどのように、現在のような地位を獲得したのでしょうか? 【画像】え…っ? 「かっこよすぎる」「つぶれた目に涙」 こちらが『鬼滅』煉獄さんが奥義を放つ瞬間です(4枚) 今でこそ世界中で人気を獲得し、日本国内でも子供からお年を召された方まで楽しまれているアニメですが、昔はもっと軽い扱いをされていたことをご存じの方も多いでしょう。1996年にアニメ化された『るろうに剣心』のオープニング「そばかす」は、あまりにも作風にそぐわないとして当時物議を醸しました。 しかし楽曲を担当したJUDY AND MARY側には、急にタイアップが決まったので2日で「アニメソング」を書けと、プロデューサーから指示があったそうです。作品が何かも教えてもらえず、やむを得ず『キャンディ・キャンディ』をイメージして作り上げられたのが「そばかす」なのですが、このような曲作りを行なったのには裏がありました。 実のところ、担当プロデューサーはそもそも『るろうに剣心』を単なる楽曲の宣伝媒体程度にしか考えておらず、意図して「アニメと関係ない曲に仕上げた」ことを後に明かしています。現在のように、作品の骨子に寄り添い作詞作曲が行われる時代からは、考えられないことです。 このように軽い扱いを受けていたアニメが、なぜ今は重要な扱いを受けているのか。単純な理由としては、市場規模が拡大したためです。2002年には約1.1兆円だった市場規模は、2022年には約3兆円と3倍近くに成長しています。 特に正規配信が開始されてからの海外市場では、ライブパフォーマンスや劇場アニメーションが高い利益を叩き出しています。なかでも劇場版は、かつて夢物語に近かった興行収入100億円を突破する作品が次々と現れる状況です。名作と名高い『天空の城ラピュタ』が11.6億円であることを考えると、隔世の感があるといえるでしょう。 資源に乏しい日本にとっては、人の才能と労力で生み出せるアニメは貴重な成長産業のはずです。主に人材育成に対する支援など、政府にはより一層の協力を期待したいところです。