舛添知事疑惑、百条委設置は見送り 傍聴席からヤジ「自民、公明どうした」
その場しのぎのウソを重ね、疑惑に絡む説明責任を逃れ続けた挙句、舛添要一都知事はその座を自ら退くことになった。東京都議会は15日夜、本会議に提出された知事からの辞職願を全会一致で同意した。総務委員会(13日)に加え、議院運営委員会(14日)の場でも、知事は「不信任案提出はリオ五輪終了まで待ってほしい」と懇願したものの、最大与党の自民も提出に踏み切り、引導を渡される形で辞職に追い込まれた。一方、知事の政治資金の私的流用疑惑をめぐって野党側が提出した「百条委員会」議案は、自民と公明が反対して否決され、解明への道筋が遠のいた。 【写真】猪瀬氏の資金提供問題で再び注目「百条委員会」とは?
議会で真実が明らかになる機会失われる
「自民、公明どうした」「議会のチェック機能はどうなるんだ」――。 共産などが提出した「百条委員会」の設置を求める議案が、与党による反対多数で否決された瞬間、傍聴席のあちこちから痛烈なヤジが飛んだ。周知のように百条委は虚偽の答弁などには刑事罰を課し、今回は設置目的として政治資金規正法違反(虚偽記載)に関わる千葉・木更津のホテルでの「面談疑惑」はもちろん、海外高額出張や公用車私的使用問題、さらに弁護士による調査報告書の作成経過などを調査対象としていた。 この議案の否決によって議会という公の場で、真実が明らかになる可能性がしぼんだことへの失望は大きく、閉会後、退場する与党議員に向けて傍聴席から「あんたらが担いだ知事だろう。このまますませるのか」「公明、おととい(の鋭い質問や資料請求の姿勢)は何だったんだ」などの声が浴びせられた。
辞任会見や定例会見は開催されない見通し
こうした背景について議会関係者は「自民も公明も百条委は具合が悪いのは至極、当然。当たり前のこと」とし、「公明にしても集中審議で知事を追い詰め、辞職要求したところまでが限界。百条委で疑惑がクロと認定されれば、自民とともに擁立したことが批判され、参院選にも影響するでしょうから」と明かす。 大山とも子議員(共産)は「結局はポーズだったのでしょうか。このままでは真相がわからなくなってしまう」と批判した。 「(このまま辞職したら)死んでも死にきれない」。10日の定例会見でそう述べていた舛添知事は、副知事への職務代行の手続きなどを行った後、正式には21日付での辞職となる。ただ、辞任会見や17日に予定される定例会見については開催しない方針とされ、報道機関への最後の説明責任を回避する見通しだ。 「(会見拒否は)あの人らしいやりかた。性格の弱さでしょう。アピール好きな一方、自分に都合が悪くなると姿を隠すのは十分予想していました」。ある都庁幹部はそう苦笑した。 (フリー記者・本間誠也)