「中国版スタバ」が本家を超えた…!? 東京を席捲する中華式カフェ「COTTI」の知られざる物語
現代ビジネス「北京のランダムウォーカー」でお馴染みの中国ウォッチャー・近藤大介が、このたび新著『進撃の「ガチ中華」』を上梓しました。その発売を記念して、2022年10月からマネー現代で連載され、本書に収録された「快食エッセイ」の数々を、再掲載してご紹介します。食文化から民族的考察まで書き連ねた、近藤的激ウマ中華料理店探訪記をお楽しみください。 第15回は、少し脇道にそれて、中華式カフェ「COTTI」をご紹介――。 【写真】『進撃のガチ中華』出版記念インタビュー「中華料理の神髄とは何か?」
一軒のカフェ
「青は藍(あい)より出でて藍より青し」(青取之於藍、而青於藍)という言葉がある。もしくは、「氷は水より出でて水より寒し」(氷水為之而寒於水)。いずれも『荀子(じゅんし)・勧学』の一節だ。弟子がいつしか師を超えてしまったという意である。 のっけから、中国戦国時代末期の思想家の成語なんぞ持ちだして来て、一体何のこっちゃ? カフェの2階の隅っこの席で、一番人気の「生椰拿鉄」(ココナッツラテ)や「加濃美式深烘焦香咖啡」(濃厚アメリカーノ深煎り芳ばしい香りのコーヒー)を啜(すす)っていたら、ふとそれらの成語が脳裏に浮かんだのだ。 眼前のポスターには、昨年のカタールW杯で優勝したメッシらアルゼンチン代表チームの雄姿が写っている。その脇の席では、日本語学校に通っていると思しき二人の中国人女子留学生が、やや怪しげな口調で、日本語の発音練習をしていた(下写真)。 冒頭で「藍」に喩(たと)えたのは、アメリカが誇る世界最大のコーヒーチェーン店「スターバックス」。では、「青」は? ここは東京の繁華街の一つ、池袋駅西口の駅前ロータリーの一角。別名、「ガチ中華街の入口」である。この一帯を歩くと、いつもどこかで中国語の会話が耳に入ってくる。 そこに9月24日、一軒のカフェがオープンした。店名は『庫迪咖啡』(COTTI COFFEE)。「中国版スタバ」と言った方が、分かりやすいかもしれない。