来年2月の本番に向け、企画を話し合うアーティストら＝浜松市天竜区春野町

　浜松市で活動するアーティストが、住民や企業との協働による芸術祭を天竜区春野町で企画している。山里の文化や景観と融合した作品を発表し、商店に呼びかけてマルシェを開く。事務局を務める市の芸術文化振興組織「浜松アーツ＆クリエイション」（中央区）は、地域と一体となって物語を生み出す企画「novel　box（ノベルボックス）」第1弾として、今後各地での展開を目指す。 　来年2月開催の「田舎町芸宴祭（仮称）」は、春野町内の空き倉庫を会場とする。同町の画家玉城博香さんや「劇団限界集落」を主宰する松井茉未さん、音楽家の鈴木のぞみさんなどが参加する。里山の原風景をイメージして作曲したり、音楽に合わせて即興で描くライブペイントを披露したりする予定。特産品を販売するマルシェを開いて幅広い層の集客を図る。 　地域に滞在して着想を得ながら制作にいそしむ「アーティスト・イン・レジデンス」の手法も取り入れる。市内で活動するピアニスト鈴木絢子さんは一定期間、里山の集落で暮らす予定で「地域の人たちと触れ合いつつ、新鮮な感覚で取り組みたい」と語る。 　2018年に発足した浜松アーツ＆クリエイションは、芸術活動の情報発信や補助金交付といった支援を展開してきた。アーティストが地域や企業と関わりながら活動する取り組みを始めることで、表現力向上や活動機会増加につながるとみている。同組織の縣美勇士さんは「地域にアーティストを応援、協力してもらえる仕組みをつくり、市内の他地域にも活動を広げていきたい」と話す。