4歳の狂言師が初舞台 炭周太ちゃん、無邪気な猿役
●11月17日、県立能楽堂で ●親子3代で共演 狂言師の炭光太郎さん(33)=金沢市無量寺3丁目=の長男周太ちゃん(4)が、11月に同市の石川県立能楽堂で開かれる「萬(よろず)狂言金沢公演」(北國新聞社後援)で初舞台に臨む。演目は「靱猿(うつぼざる)」で、周太ちゃんは無邪気な猿を演じ、光太郎さんと祖父の哲男さん(69)も一緒に舞台に立つ。念願の親子3代の共演がかなった光太郎さんは「一生懸命稽古し、楽しんで見てもらえる舞台をつくりたい」と力を込めた。 靱猿は太郎冠者(かじゃ)を連れて狩りに出掛けた大名が、毛並みのいい猿を連れた猿引と出会い、猿の皮を要求する筋書きで、初舞台の定番となる作品。大名を哲男さん、猿引を光太郎さん、太郎冠者を中尾史生さんがそれぞれ演じる。 周太ちゃんは7月から毎週木曜日に能楽堂などで稽古に励んでいる。稽古では、腕や足をぽりぽりとかいたり、座りながら上を見上げたりと愛らしい猿のしぐさを見せ、光太郎さんが動きのタイミングを分かりやすい言葉で伝えた。 光太郎さんは自分の役だけでなく、周太ちゃんの動きにも気を配る。周太ちゃんには「覚えることが多く、口にしても難しいので体で覚えてもらうようにしている」という。 靱猿には、大名が猿の動きをまねる場面が登場する。哲男さんは「孫といつも遊んでいるような情景を思い浮かべている。お客さんに遊び心を伝えたい」と意気込む。稽古で堂々とした演技を見せた周太ちゃんは「緊張するけど、頑張りたい」と笑みを浮かべた。 11月17日の萬狂言金沢公演には、炭さん一家のほか、加賀藩ゆかりの狂言和泉流の野村万蔵家一門が勢ぞろいする。文化勲章受章者で人間国宝の野村萬(まん)さんは孫3人と「才宝(さいほう)」を初披露し、当主の九世野村万蔵さんは地元狂言師と「樋(ひ)の酒」を繰り広げる。開演は午後2時半で、チケットは県立能楽堂などで扱う。