【目玉のはずが…】万博で唯一の国産「空飛ぶクルマ」商用運航を断念 乗客が搭乗しない“デモ飛行”に スカイドライブ「2026年以降の運航目指す」
2025年の大阪・関西万博の目玉の1つである「空飛ぶクルマ」について、運航事業者として選ばれている4つのグループのうち、唯一国産の機体で商用運航を目指していた新興企業「スカイドライブ」が14日、万博での商用運航を断念し、乗客を搭乗させない形での「デモ飛行」に切り替えると発表しました。 大阪・関西万博の「空飛ぶクルマ」をめぐっては、万博会場を起点に「関西空港」や天保山などの「大阪ベイエリア」「大阪都心部」を結ぶことが計画されています。運航事業者には「日本航空」「ANAホールディングス」「丸紅」のグループも選ばれていますが、いずれも海外メーカーの機体を使用する予定で、スカイドライブだけが唯一、自社で国産の機体を開発しています。 愛知県豊田市に本社を置くスカイドライブは、万博での運航開始を皮切りに機体販売の拡大を目指す方針を示し、2024年3月から、スズキのグループ会社の工場で、操縦士を含めた3人乗り、最高速度が時速100キロで、12枚のプロペラを持つ機体を製造すると明らかにしていました。
機体に乗客を乗せる「商用運行」の前提として、国に安全性についての承認を得る「型式証明」を取得する必要がありますが、スカイドライブは14日、万博では航空局の許可を得た「デモ飛行」とし、型式証明の取得と商用運行については2026年以降を目指すと発表しました。 スカイドライブは「会場にて当社の空飛ぶクルマが飛行する姿を多くの来場者の皆様に見ていただけるよう、引き続き開発に邁進してまいります」とコメントしています。 万博開幕まで1年を記念して行われた4月のイベントで、大阪府の吉村知事は「空を見れば『空飛ぶクルマ』が飛んで、新しい技術がそこにある、新しい未来社会がそこにあるというのを1年後に大阪でやります」と語るなど、空飛ぶクルマは“万博の目玉”として位置づけられています。特に、国産の機体を開発するスカイドライブとは、大阪府・市が2021年9月に実用化に向けた連携協定を結ぶなど、万博での商用運行に期待がかかっていました。