<逃げ上手の若君>視聴者を圧倒したラストとは? 逃若党の男子ら大活躍で「素晴らしい逃げ切り」と反響多数
TVアニメ「逃げ上手の若君」(毎週土曜深夜11:30-0:00ほか、TOKYO MXほか/ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・Leminoほかで配信)の最終回が9月28日に放送された。保科軍と逃若党による「逃げるが勝ち」の撤退戦。本作のテーマに相応しいラストが圧倒的なクオリティで描かれ、反響を呼んだ。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】吹雪の戦術的な頭脳が冴え渡る(ほか、第十二回場面カット) ■「逃げ上手の若君」 本作は、「魔人探偵脳噛ネウロ」「暗殺教室」で知られる松井優征が週刊少年ジャンプ(集英社)にて連載中の歴史スペクタル漫画を原作としたTVアニメ。鎌倉幕府滅亡の後、北条家の生き残りである主人公の北条時行が動乱の世を駆け抜ける姿を描く冒険譚だ。 アニメーション制作は「SPY×FAMILY」や「ぼっち・ざ・ろっく!」などを手掛けるCloverWorks、監督は「ワンダーエッグ・プライオリティ」で副監督を務めた山崎雄太、シリーズ構成は「その着せ替え人形は恋をする」の冨田頼子、キャラクターデザインは「劇場版ポケットモンスター ココ」で総作画監督を務めた西谷泰史が担当。奇才の製作陣が、美麗かつ迫力のある映像で歴史の一片を紡ぐ。 ■吹雪の戦術がみなを安全圏まで導く 悪徳国司・清原信濃守(CV:勝杏里)に対する保科党の反乱を止めるため、北信濃・川中島を訪れた逃若党。時行(CV:結川あさき)の熱がこもった説得により、大将の保科弥三郎(CV:稲田徹)をどうにか説得することができた。 7月から約3ヶ月にわたって放送されてきたTVアニメ「逃げ上手の若君」。ついに迎えた最終回では、保科軍と逃若党による「逃げるが勝ち」の撤退戦が描かれた。 国司軍が追ってくるなか、保科軍は北の防御柵まで領民たちを守りながら逃げることに。しかし、今回は平地での戦いゆえに伏兵などの柵が使えず、国司軍に数で劣る保科軍は圧倒的に不利な状況にあった。そんななか、吹雪(CV:戸谷菊之介)の戦術的な頭脳が冴え渡る。 国司の私兵たちを率いる武士・和田米丸(CV:武田幸史)を利用し、相手の軍を弱体化させる作戦に出る吹雪。そこで活躍を見せるのが、変装の名人である玄蕃(CV:悠木碧)だ。米丸に化けた玄蕃が私兵たちを引きつけた上で、山の上から保科の隣領で諏訪神党の一員である四宮左衛門太郎(CV:神尾晋一郎)たちが弓を放つ。川中島の諏訪神党たちはみな粒揃いだが、生きる覚悟を決めた彼らはさらに強く、領民全員を避難させるまであと一歩のところまで近付くのだった。 ■逃若党の副将・弧次郎が大活躍! そんななか、高台から助太刀が必要な仲間を見つけては効果的な一撃を浴びせ、また高台へを繰り返していた弧次郎(CV:日野まり)が、川岸を伝って背後の女子供を狙う敵がいることに気づく。そこで保科党の兵士を数人借りて、敵に斬り込む弧次郎。 だが、待ち構えていた米丸に弧次郎が連れてきた騎兵はすぐさま落とされてしまう。唯一騎馬で生き残っている弧次郎は米丸と一騎打ちに挑むが、体重も腕力も劣っている上に、プロボクサーのシャブとほぼ同じ速度で突進してくる米丸の太刀をまともに受けることができない。 ピンチのなか、弧次郎を励ましたのは保科党の兵士たちが自分の名前を呼ぶ声だった。彼らは昨日の戦いで時行が弧次郎の名前を連呼しているのを聞いていたのだ。そんな彼らを通して時行の声が聞こえた気がした弧次郎は、主君の恥にならないよう米丸にせめて一太刀浴びせようと決意。その一太刀は米丸にわずかな傷をつけることしかできず、力尽きそうになった弧次郎だったが、保科党の兵士たちに鼓舞される形で米丸を倒すことができた。 これまで逃若党の要は戦術にも戦闘にも長けている吹雪だと思っていた弧次郎。だが、米丸を討ち落とすことができたのは弧次郎が戦場を駆け回り、味方を巻き込んで献身的に戦ったからこそ。吹雪が言う通り、弧次郎が持つ逃若党の副将としての素質が見えた戦いだった。 ■視聴者を圧倒したラストとは? 大将である時行もただ戦いを見ているだけではない。領民たちが全員安全圏までたどり着いたことを確認し、兵士たちも撤退することに。その最も危険な撤退の最後尾を務め、得意な逃げながらの後方射撃を見せた時行は味方から絶大な信頼を得るのだ。 その間、吹雪は護衛が離れている隙に国司の髷(まげ)を切り落とす。これによって国司は怖気付き、あらかじめ時行たちが立てた大量の旗を見るや兵を撤退させた。 そして無事に安全圏まで逃げ切った保科党と逃若党。領地は失ってしまったものの、領民たちの歓声を浴びた弥三郎は「こんなに気持ちのいい負け戦は初めてだ」と晴れやかな顔を見せる。 ナレーションによると、保科氏は時代の流れでこの先何度も主君が変わるが、危機を巧みに乗り越えて明治まで続く生き延び上手の大名となる。時行にとっても間近に迫る大乱の重要な戦力となるそうだが、それも時行はもちろん、弧次郎が兵士たちの心を掴んだおかげだ。仲間とともに諏訪頼重(CV:中村悠一)から与えられた軍を一人でも多く逃し、逃げ上手の大将となるというミッションをクリアした時行は、「死にたがる武士を生きたがりにして仲間にする」という目標に向かってさらに突き進んでいく。 ラストは諏訪大社で時行たちの生還を祈っていた頼重、雫(CV:矢野妃菜喜)、亜也子(CV:鈴代紗弓)と再会する。その様子は絵巻の中で描かれ、閉じると表紙裂に「逃げ上手の若君」とタイトルの文字が。最後まで多彩な演出で私たちを楽しませてくれた本作。 視聴者からも「最後は負けたのに勝ったような清々しさ…まさにこの作品に相応しい合戦でした」「弧次郎カッコ良かった~!!」「時行、弧次郎、吹雪、玄蕃それぞれの得意な所を生かして大活躍だし、保科党のクセ強おじさん達も強くて頼もしくて、素晴らしい逃げ切りでした!」といった感想とともに、「毎回本当に面白かったし、演出もクオリティも素晴らしかった」「もう最終回とか寂しすぎる!」「あっという間で早すぎた!」「味方も敵も個性豊かで毎週楽しかったので続きが見たい」といった声が上がっていた。そして、放送翌週には第二期の制作決定が発表された。今後も続報に注目したい! ◆文/苫とり子