強盗防げ! 熊本の住宅で対策強化の動き 窓に防犯フィルムや格子設置 警備会社も問い合わせ急増
首都圏で相次ぐ民家への強盗事件を受け、防犯対策を強化する家庭が、熊本県内でも一戸建て住宅を中心に増えている。工務店には窓ガラスに貼る防犯フィルムの見積もりや施工の依頼が相次ぎ、在庫不足となっている。警備会社には防犯システムに関する問い合わせが急増している。 千葉や横浜で8月以降に相次いだ強盗事件では、実行犯が住宅の窓ガラスを割って室内に侵入する手口が目立った。山口県で10月に強盗予備容疑で逮捕された少年ら3人は、侵入用の工具を所持していた。 熊本市中央区の工務店「新本施工店」は10月以降、ガラスを割られにくくする防犯フィルムの貼付、窓への格子やシャッター取り付けの相談が次々と寄せられている。今月7日には、宇城市の1人暮らしの高齢女性宅で窓にシャッターを取り付けた。 「これまで防犯フィルムなどの施工は台風といった災害対策が中心だった。防犯目的がこんなに多いのは初めて」。代表の新本峰三さん(56)は急な変化に驚く。防犯フィルムは全国的に需要が増え、半月~1カ月ほど入荷が遅れているという。「すぐに着手したいが在庫がない。お客さんに待ってもらうしかない」と恐縮する。
住宅リフォームを手がける熊本市西区の「GOOFEE(グーフィー)」も、高齢世帯を中心に防犯フィルムや格子の設置依頼が増えている。社員の矢野博志さん(33)は「どの家庭も強盗事件をとても気にしている。フィルム以外にも、防犯カメラなど簡単に侵入できない対策を提案している」と説明する。 熊本市中央区の警備会社「キューネット」には、防犯システムや不審者の侵入を音で知らせるセンサーに関する問い合わせが多く寄せられている。「9月以降、問い合わせが急増した。離れて暮らす高齢の親の身を案じて設置を相談する家族もいる」。社員の永池智也さんは、玄関や窓の施錠の徹底を促す。 県警には10月、強盗事件の影響を受けたとみられる心配事や不審者情報、不審電話に関する相談が約120件あった。生活安全企画課は「県民の危機感や防犯への関心が高まっていることがうかがえる。冷静に判断しながら、各家庭で防犯対策を進めてほしい」と呼びかける。(松冨浩之、遠山和泉)