3代目ゼクシオ エックスドライバーは「フェード系へ」華麗なる変身【ヘッドデータは嘘つかない】
まだまだ体力があり、しっかり振りきりたいゴルファーのために開発された「ゼクシオ エックス」は、2023年11月、3代目に進化した。初代、2代目から、どのような進化を遂げたのか? そして今回新たに開発された「バイフレックスフェース」は飛びにどのような効果をもたらすのか? クラブ設計家の松尾好員氏とともに実測データをもとに検証してみた。 3代目ゼクシオ エックスを手に2勝を挙げた菅沼菜々写真館
これがゼクシオ流「飛びの3要素」の最適化
3代目ゼクシオ エックスは、ヘッド形状やシャフトなどがそれぞれ専用設計されているため、本家「ゼクシオ13」とは異なる特性を持ったドライバーだと言えるが、搭載されているテクノロジーに共通点が多いことからも、ゼクシオ本来の「やさしさ」を兼ね備えたアスリート志向のドライバーという位置づけになる。 フェース外周部の剛性を高めることでフェースのたわみを最適化し、高反発エリアを広げることができたという「BiFLEXFACE(バイフレックスフェース)」。前作にも搭載されていたダウンスウィングでの空気抵抗を減らし、ヘッドスピードを高める効果があるという「ActivWing(アクティブウィング)」をさらに進化させてきたのが、3代目ゼクシオエックス(と13代目のゼクシオ13)の特徴になる。 クラブ設計家の松尾好員氏は、初代から3代目にかけて「ヘッドの慣性モーメント」が大きくなっていることと、重心率(※)が「66.3%」と徐々に高く設計されていることに注目した。 ※重心率/重心位置の指標のひとつ。「重心高さ÷フェース高さ」の数式で表され、数値が小さいほど低重心となり、低スピンになりやすい
ヘッドの慣性モーメントと重心率の役割を簡単に説明しておくと、ヘッドの慣性モーメントはスイートスポットを外したとき、どれだけヘッドのブレを抑えてくれるかを判断することができ、重心率はスピン量と弾道の安定を考えるデータになる。 スイートスポットよりトウ側でヒットした場合、ボールの衝撃でフェース面は、時計回りにはじかれる。その結果、ターゲットより右側に打ち出すことになり、逆にヒール側でヒットした場合、フェースは反時計回りにブレてしまい左側に打ち出すことになる。(もちろんヒール側にはシャフトが差さっているので同じくらい打点位置がズレていても影響の大きさは異なるが……) スピン量と弾道に関係してくる「重心率」は、「61%前後」だと低重心、「64%前後」だと高重心というのがひとつの目安になる。打ち出し初速が遅く、スピン量が少ないと、打球はドロップしてしまいキャリーを出すことが難しい。その場合は、高重心のヘッドでスピン量を増やす必要があり、逆の場合(打ち出し初速が速く、スピン量が多い)は、低重心のヘッドでスピン量を抑えることで、弾道を安定させることが可能になる。 弾道の安定は、飛びの3要素(打ち出し初速、打ち出し角、スピン量)の最適化によって実現するため、ほぼすべてのドライバーがそこを目指して開発されていると言っていいだろう。 3代目ゼクシオ エックスは「バイフレックスフェース」による有効打点エリア(打ち出し初速アップ)の拡大、高重心化による安定したスピン量、慣性モーメントの大幅アップによって、前作を超える「やさしく打てて飛距離が出せる」ドライバーに進化したと言えそうだ。