「完全に逆転されている」 “落選危機”公明党・石井代表の応援に石破首相、小泉進次郎、小池百合子、岸田前首相…それでも“劣勢”の大醜態〈埼玉14区〉
「石破さん、小泉進次郎さん、小池百合子知事が来て…」
その石井氏を脅かしているのが国民民主党の前衆議院議員、鈴木義弘氏だ。過去3回、衆院選では小選挙区で落選しながら比例復活してきた。それ以前は自民党に所属して県議を4期務めており、地元での知名度は高い。 公明党が1000人超を集めた集会を開いた25日、鈴木氏は数人のスタッフらと街角での演説会を重ねた。通り過ぎる人が時折、手を振る程度だ。こうした最小規模の演説会を一日に10か所程度行なってきたという。 JR新三郷駅前で演説の準備をしていた鈴木氏に話を聞いた。 「ここの地区は(国民民主党の支持基盤の)大手の労働組合はほとんどありません。中小、零細企業が多い町です。私は県会議員の時から回ってきました。 あいさつ回りとか会合に呼んでいただいて人に会う時、仕事の話をしてくれる方もいれば、通り一遍で『ああ、結構です』と言われることももちろんある。やっぱり、1回、2回と選挙でお世話になっていかないと。人間関係っていうのかな。今回は駅で立つと20代くらいの若い人がけっこう声をかけてくれます」 選挙区の事情をこう話す鈴木氏。自公連立政権の一方の柱を相手にしていることには「ここは(首相の)石破さんが来て、小泉進次郎さんが来て、小池百合子知事が来て、斎藤健さんが来て、今度は岸田前総理でしょ。ずいぶん偉い人が来るんだなー、この選挙区は。 まあ覚悟してこの選挙臨みましたけど。私は去年から“ゾウさんとアリンコの戦い”と言ってきたんですよ」と話し、「オール与党」に肉薄している自分の戦法に自信を持っていることをうかがわせた。
未公認候補の支部に2000万円を支給していた問題にも言及
選挙戦最終日の26日は地方で遊説する石井氏にとって、25日夜の大集会は地元でのマイク納めでもあった。 他の弁士は、「鈴木氏が所属する党を渡り歩いてきた」と批判し「比例代表に重複立候補していない石井代氏は小選挙区で落ちたら終わりだ」と危機感を強調。 続けてマイクを持った石井氏は「まずもって自民党の議員、党員の皆様には、党の違う私に対しまして、自民党の公認候補のような押し上げを今日までしていただきました。心から感謝と御礼を申し上げます」と、自民党への礼から話を開始。 「野党は安全保障も経済政策もバラバラで、自公が過半数割れを起こせば日本の政治は大混乱に陥ることは間違いない」、と語気を強めた。 そして「必ずや自民党と公明党の連立政権で過半数を取らなければならない。そしてそのためにはこの埼玉14区では、自公の連立の象徴である石井啓一、石井啓一が勝たなければならないんです。逆転勝利をさせてください!」と、自分の勝敗が日本の政治の成否に直結すると訴えた。 トリで演説に立った岸田氏は「石井代表は私とは平成5年に初当選させていただきました当選同期でありました。石井代表は私の政権の際には公明との幹事長として自公政権を支えていただいた、大変大きな恩を頂いた方であります」と石井氏とは強い信頼関係にあるとアピール。 自民党が未公認候補の支部にも2000万円を支給していた問題では公明党支持者向けの弁解をした。 「ご指摘の資金は毎年定期的に政党支部に対して党勢拡張のために出しているお金であります。少なくとも未公認の候補者が選挙資金に使えるお金ではないということははっきりと申し上げておきたいと思います。 お金を出した時期の関係で誤解を招いたことは心からお詫びを申し上げなければならないが、自公の選挙に影響が出ないように、しっかりと自民党として対応してまいります」 その上で「経済、外交、子育てはじめ、さまざまな分野で結果を出してきた。これが自民党と公明党の連立政権。口先だけの野党とは違うんであります。しっかりと結果を出してきた政党はどこなのかを見極めて頂き、皆さんの未来を託していただきたい」と、実績を見てほしいと訴えた。 公明党では2009年の総選挙で小選挙区から出た当時の太田昭宏代表が敗れ、太田氏は比例重複立候補も辞退していたため国会議員バッジを失った。 石井氏が落選すれば、二度目の党代表の退場になる。創価学会の池田大作名誉会長というカリスマがこの世を去り、学会員、公明党支持者の高齢化で弱まっていると言われる党組織が更なる打撃を受けるのか、最後に地力を見せて巻き返すのか。 埼玉14区の行方は自公連立の将来にも大きな影響を及ぼしそうだ。 取材・文/集英社オンラインニュース班
集英社オンライン編集部ニュース班