ドラフト9位から1億円プレーヤー 満塁弾浴びて進化のヒント得た「巨人の左腕」は
高い修正能力を見せて
ただ、今季の手ごたえをつかんだ試合に挙げた試合は、意外な登板だった。4月26日のDeNA戦(横浜)。8回途中に登板すると、社会人野球・ENEOSの後輩でドラフト1位の新人・度会隆輝に満塁アーチを浴びている。 「実は今まで野球をやってきて、クイックのフォームでしっくりくることがなかったんです。メカニックで『これだ』というのが見つからない状態でずっと投げていたんですよね。だからフィジカル依存というか、体の調子がいいときはいいけど、そうじゃないときは腕で頑張って投げるみたいな感じで。それが今季、ファームで少し感覚が良くなってきて。一軍に上がって、ベイスターズとの試合で度会(度会隆輝)君に(満塁)ホームランを打たれたんですけど、それがきっかけで良くなりました。スライダーを6球続けて、バーンって打たれて、あとから自分で振り返っているときに『こうしたらいいんじゃないか』というのに気づくことができた。ようやく自分の中でクイックのフォームが『見つかった』という感じです」 「度会君に打たれたときは、ずっとスライダーが抜けていたんです。『何でこんなに抜けるんだろう』とあとから考えているときに、いいものが見つかった。『ああでもない、こうでもない』というのを毎日繰り返すんですけど、『次はこうやってみよう』『これは違ったな』というのをずっと繰り返して、そうしていくうちに選択肢というのはだんだん消えていく。そこでようやく『これだな』というものにたどり着くことができるんです」 昨季は7被弾したが、今季浴びた本塁打は度会に浴びた1本のみ。2試合連続失点は一度もなく、修正能力の高さを見せている。32歳左腕はまだまだ進化する。 写真=BBM
週刊ベースボール