【業界人図鑑 vol.2】インハウスアーティストの醍醐味、メイクアップ起点に幅広い世界へ ヘアメイクアップアーティスト 武田玲奈
日本の化粧品業界をリードしてきた資生堂のヘアメイクアップアーティスト(以下、HMA)は、いわば精鋭中の精鋭といえる存在だ。武田玲奈さんは、約40人が所属する資生堂HMAの中で、6人が保持する「トップアーティスト」の一人。資生堂の宣伝・コミュニケーション全般のメイクアップから商品開発、トレンドレポートの作成、講師まで、仕事の内容は多岐にわたる。
Hair & make up artist ─── 武田玲奈 ヘアメイクアップアーティスト ─── 資生堂トップヘアメイクアップアーティスト
PROFILE:(たけだ・れな)資生堂美容技術専門学校を卒業後、2000年に資生堂に入社。6年間のサロン経験、ヘアメイクのアシスタントを経て、ヘアメイクアップアーティスト。18年から資生堂トップヘアメイクアップアーティストに。13~15年、16~19年と2回のNY駐在を経験。趣味は読書と旅
Q 仕事の内容を教えて下さい
武田玲奈(以下、武田):資生堂HMAは宣伝広告のヘアメイクアップ、パリ、NY、東京などで開催されるファッションショーのヘアメイク、メイクアップ製品の開発、トレンド情報レポートの作成、資生堂が運営するヘアメイクスクールの講師まで、仕事の内容はかなり多岐にわたっています。私の場合は、基幹ブランド「SHISEIDO」に、メイクアップアーティストとして商品開発やトレーナーへの指導などに携わりながら、広告やSNSなども含めたコミュニケーション全般のメイク監修も務めていますし、トレンドレポートの作成、資生堂の運営するヘアメイクスクールSABFA(サブファ)の講師なども行っています。撮影やショーの、いわゆる「ヘアメイクアップアーティスト」の現場のお仕事は全体の3割くらいです。ただ、同じ資生堂HMAでも人によってかなり変わると思います。
Q ヘアメイクアップアーティストを志した理由は?
武田:両親とも美容師で、特に母は黎明期のヘアメイクアップアーティストで、ファッション関係者の知人も多く、小さい頃からヘアやメイクの専門的な話がご飯のときにも飛び交う、そんな家庭で育ちました。なので早い段階からヘアメイクアップアーティストになろうと決めていました。特に影響を受けたのが、1990年代の世界のヘアメイクアップを牽引したトップアーティストの一人であるディック・ページです。アーティスティック・ディレクター契約を結んでいた資生堂に入社したくて専門学校も選んだほどです。