なぜ「普通の若者」が「強盗・殺人」を犯してしまうのか…《闇バイト強盗団》の「人心掌握術」と「カモにされる意外な年齢」
首都圏で相次ぐ強盗事件。テレビの中のことと思いきや、危険は身近に迫っている。事情通曰く「カネに詰まっているグループが手当たり次第に叩いている」。凶悪化する犯罪組織の手口を追った。 【一覧】こんな家は狙われる!「強盗被害危険度判定チェックリスト30」 前回記事『「しまった、闇バイトだ…」《引っ越し手伝い》《事務作業》に応募したら「半グレ」が待っていた…普通の若者が「闇バイト強盗」で人を殺すまで』はこちらから
人心掌握のマニュアル
しかし、「一回やって終わり」ということはありえない。半グレ構成員が続ける。 「もう辞めたいと言っても、決して逃がしはしません。『お前はもう犯罪者。証拠も揃っている。警察に言ったら人生終わりだよ。うちで働いて、一緒に金持ちになろう』と金と暴力でコントロールしていく。セリフや誘導などの人心掌握は、マニュアルがあるから簡単にできる」 強盗などの大型案件では、下見役、見張り役、運転役、実行役、換金役、換金したお金の回収役など、とにかく役割を細分化・単純化していく。そうすることで、犯罪に慣れていない素人でも指示を出すだけで動かすことができるという。 引っかかりやすい素人にも特徴がある。ノンフィクション作家で龍谷大学研究員の廣末登氏は「なかでも狙われているのが16~17歳の少年だ」という。 「この年齢であれば、彼らに『万が一パクられても、未成年だから少年院で済むよ』と説得できます。若いので体力もあり、特に強盗などの案件では、『即戦力』として採用される。強盗は、欲と度胸と体力があれば、誰でもできますからね」
若者特有の「情報弱者」
脅されることで、犯罪行為から抜け出せなくなってしまう若者たち。しかし、明らかに怪しい案件にも、彼らは進んで応募していく。その背景には若者特有の考えがあった。前出の半グレ構成員が言う。 「いまの子は、とにかくコスパやタイパを気にしている。『一撃○万円』などというキーワードに惹かれて、少々危ない案件であっても問い合わせてきたりする」 さらに前出の廣末氏は「そもそも、闇バイトが社会問題になっていること自体を、若者が十分に認識していない可能性がある」と指摘する。 「私が講義を担当した大学のクラス(93人)でアンケートを取ったところ、新聞を読んでいる人は0人。さらに、ネットニュースを見ている人さえもクラスに1人しかいなかったのです。いまの若者は、日常的にニュースを見る習慣がないのかもしれない。ある意味で『情報弱者』なのです」 前出の半グレ構成員は取材の最後に「若い奴は金に困ってるのが多いから、闇バイトの犯罪は今後も増える」と言い残した。闇バイトを根絶することは相当に難しそうだ。 「週刊現代」2024年11月9日号より ……・・ 【つづきを読む】「今からお父さんとお母さんは避難します!」本誌記者の実家がターゲットに…《実録》闇バイト「強盗団」の手口と恐怖
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