「変化を楽しみたい」女川町の出島に架かった悲願の橋 本土とつながり描く未来〈宮城〉
仙台放送
橋の開通で、出島はどう変わっていくのでしょうか?島民、そして島に新たな仕掛けを作る人に思いを聞きました。 女川町の本土から船で約50分の場所にある出島。水産都市、女川町における漁獲量のうち、約4分の1を占める漁業のまちです。島に子供はおらず人口は約90人。島と本土をつないできたのは1日3往復の船だけで、島に生きる人たちにとって本土は近いようで遠い場所でした。 阿部嘉代子さん 「ようやくだなって、あれから50年も60年もだなって思う」 阿部嘉代子さん(79)。結婚を機に東松島市から移り住み、今は夫の作雄さんと2人で暮らしています。 阿部嘉代子さん 「ここにあと2、3年で橋が架かるんだからって言われて、昭和40年に来たんです」 阿部さんが嫁ぐ時、この島にまもなく橋がかかると聞いたそうです。それから時間だけが過ぎ、59年が経ちました。 阿部嘉代子さん 「でもみんないなくなってしまってね。橋渡る時、踊って渡るかなって言っていたの、みんなで」 高齢化が加速する島にとって、出島大橋は暮らしと生きがいをつなぎます。 阿部嘉代子さん 「橋架かると、みんなあちこちから来るから、皆でお茶飲みをするにいいなとばかり思う」 橋の開通をきっかけに観光につなげようという動きも出ています。 サウナ施設「JUURI SAUNA(ゆーり さうな)」。橋の開通を前に、この日も急ピッチで作業が進んでいました。運営するのは町の地域おこし協力隊。出島に縁もゆかりもありませんでした。外から来た人間だからこそ気付いた魅力があるといいます。 地域おこし協力隊(塩釜市出身) 大山海渡さん 「まず島民に愛されるような場所づくりにはしていきたいと思っているのと、観光にできるような場所を作ることによって、島の新たな活性化にはなるかなと」 地域おこし協力隊(塩釜市出身) 鹿又陸さん 「自動販売機が1個あるだけみたいな何もないところに、すごく自分は魅力を感じて、ここでやりたいと思いました。日々疲れている人がここに来てリラックスできる。非日常感を味わえるような、そういう場所にしたい」 出島生まれの植木博幸さん(52)です。2人の思いに共感し協力しています。 出島生まれ 植木博幸さん 「若い人たちが来ることはすごくいいことだと思うし、その手助けというか高齢者の人と若い人たちの間に入ってつなげる役割ができたらいいかなって」 サウナ施設は12月19日にプレオープンし、21日からの本格営業を目指しているということです。 出島生まれ 植木博幸さん 「橋が架かってしまって、良い意味でも悪い意味でも変化すると思っているので、良い風に活用できたらなというか。そういう変化を望んで、こういう活動に参加して、楽しみたいと思って」 島民が願い続けた橋の開通。離島ではなくなった出島に12月19日、島の未来がかかりました。
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