数字を求められる=結果を残さなければいけない。サンフレッチェ広島・松本泰志がプレッシャーの中で感じる成長への手応え
豊富な運動量を武器にピッチ上で躍動し、複数ポジションで縦横無尽の活躍を続けるサンフレッチェ広島・松本泰志。タイトル獲得に向け負けられない試合の続くチームのなかで、攻守に存在感を増す松本が感じる成長の手応えとは。(全2回/1回目) 【写真】FC東京戦でハットトリックを達成したトルガイ・アルスラン ―今季も終盤に入りました。ここまでのチームと自分自身のプレーの手応えは? 「シーズン終盤までタイトルを獲得できる可能性が残っていて、良いシーズンになっていると思います。個人的にはポジションがシャドーに変わってから、すごく成長できている手応えがありますね」 ―これまではボランチが主戦場でしたが、今季途中から2シャドーの一角でプレーしています。ポジションが変わったことによる違いや変化を、どう考えていますか。 「シャドーはボランチよりもゴールに近いポジションなので、これまで以上に得点やアシストの 『数字』を求められます。プレーの選択肢もかなり変わるので、試行錯誤しながらプレーしていますが、いま話したように成長を感じることができて、とても楽しいです」 ―ポジションが変わると、見える景色や体の向きなども大きく変わると思います。最初は戸惑ったりしませんでしたか。 「高校時代は攻撃的なポジションでプレーしていたので、特に問題はなかったです。ただ、シャドーはポジショニングが大事になるポジションなので、プレー中に頭を使うことがすごく増えました。それが自分の成長につながっていると感じています」 ―シャドーのポジショニングで意識しているのは、どんなことですか。 「もう1人のシャドーが満田 (誠)選手、1トップのFWが加藤 (陸次樹)選手のときは、どちらも前へ向かっていくプレーが強いタイプなので、自分が後ろとの中継役になりながら、どうすれば2人がシュートに持ち込めるかを意識しています。チーム全体でうまくパスを回すために、どうすれば良いのかも常に考えていますね」 ―自分で得点やアシストを狙う機会も増えていると思います。数字を求められる=結果を残さなければいけない、というプレッシャーも感じているのでしょうか。 「すごく感じています。チャンスを数多くつくることができるサンフレッチェが、現在よりワンランク上のチームになれるかどうかは、前線の選手がチャンスをどれだけ決められるかにかかっていると思っているので。自分も、より 『数字』にこだわって、もっと積み重ねなければいけないです」 ―8月のリーグ戦再開後、週2試合ペースの過密日程が続きました。 「疲れを感じるときもありましたが、同じように出場しているベテランの方もたくさんいるので、疲れたとは言っていられないです。出場機会を得て、タイトル争いをして成長させてもらっていると、もっと試合に出て成長したい思いの方が強いです」 ―ミヒャエル・スキッベ監督のサッカーは、攻守両面で豊富な運動量が求められます。松本選手は試合中の走行距離がチーム1位の常連ですが、しっかり走ることができていると自分で感じるものですか。 「周りから教えられて気付くだけで、特に意識はしていません。ただ、やはり自分の特徴は運動量なので、90分間フル出場するときでも、誰よりも走らなければいけないと思ってプレーしています」 ―サッカーで走るだけでなく、持久走も昔から得意だったのですか。 「得意でしたが、中学時代にプレーしたクマガヤSCが、たくさん走りの練習をするクラブだったので、もっと得意になりました。あの練習で自分の基礎ができたと思います。加藤選手もクマガヤSC出身なので、たまに 『あれより苦しい練習はないよね』と話しますよ。あの時期に鍛えられたからこそ、いまもしっかり走ることできますし、ケガも少ないのではないかと思います」 ―今季は背番号が17から14に変わりました。何かきっかけがあったのですか。 「昨季の途中に練習場の風呂場で、昨季は14番だったエゼキエウ選手が、『17番は僕にとって思い入れのある背番号なんだ』と言ってきたんです。僕も14番は中学時代にクマガヤSCでつけていたので、『じゃあ来季は交換する?』と答えました」 ―クマガヤSC時代の背番号に変わったシーズンに、その時期に基礎をつくった運動量を生かして活躍しているわけですね。 「言われてみれば、そうなりますね。そのときは軽い気持ちで答えたんですけど、エゼが 『本当? 強化部の人に言っていいよね?』とすごく喜んだので、そんなに喜んでくれるのなら、と思って交換しました (笑)」 (後編へ続く)
広島アスリートマガジン編集部