『シェンムー 一章 横須賀』25周年。制作費70億円を投じたオープンワールドゲームの元祖とも呼ばれる、時代を先取りし過ぎた伝説の作品【今日は何の日?】
※本記事は、2023年12月29日にアップした記事を再編集したものです。 壮大なストーリーと自由度の高さが魅力 【記事の画像(6枚)を見る】 1999年(平成11年)12月29日は、ドリームキャスト用ソフト『シェンムー 一章 横須賀』が発売された日。本日で発売から25周年を迎えた。 『シェンムー 一章 横須賀』は、セガ・エンタープライゼス(当時)から発売されたアクション・アドベンチャーゲーム。2019年に最新作『シェンムーIII』が発売されたことで大きな話題を呼んだシリーズの第1作で、現在もコアなゲームファンから熱い支持を得ている作品でもある。ミレニアムだなんだと世間が騒がしい時分に発売されたタイトルで1999年の最後に遊んだゲームだったため、筆者的にも思い出深い。確か2000年を迎えた瞬間にはフォークリフトに乗るバイトをしまくっていたような……気がする。 開発を手掛けたのが『バーチャファイター』シリーズや『アウトラン』などで知られるゲームデザイナーの鈴木裕氏だったこともあり、発売当時の注目度は非常に高いものだった。制作費70億円という破格の開発費を謳い文句にしたキャッチーなCMもバンバン流れていたので覚えている人も多いんじゃないだろうか。 メーカーが定めたジャンルはFREE(Full Reactive Eyes Entertainment)。その名前が示す通りゲームの自由度の高さが『シェンムー』の大きな特徴となっていて、オープンワールドゲームの先駆け・元祖などと呼ばれることもある。 舞台となる1986年の横須賀の郊外が緻密に作り込まれており、そこに住むNPCたちがそれぞれに生活を送っているのが画期的だった。記憶がおぼろげではあるが、週刊ファミ通の攻略記事でNPCたちが時間帯ごとにどこで何をしているかがわかるスケジュール表が載っていて笑った覚えがある。ひとりひとりストーキングして調べたのだろうか。 街の作り込みが凄まじいだけに、つい寄り道してしまうような要素も多数存在。なかでもゲームセンターは入り浸ってしまった人が多いんじゃないかな。というのも、『スペースハリアー』や『ハングオン』といった名作アーケードゲームが見事な再現度で実際にプレイできたからだ。 これは『龍が如く』シリーズなどでもおなじみの要素だが、もともとは『シェンムー』から始まったお楽しみとも言えるのではないだろうか。筆者はお手伝いの稲さんがくれる500円のお小遣いを握りしめて、毎日ガチャガチャをしに走った記憶がある。 最近のゲームでも散見される“QTE”ことクイックタイムイベント(本作ではクイックタイマーイベントと呼ばれた)を現在の形で広めたのも本作と言われていて、世界中のさまざまな作品に多大な影響を与えた。見るだけだったイベントシーンがスリリングなものになったのは、当時はけっこうな衝撃。ぼんやりとイベントを見ていたらいきなりQTEが始まって失敗なんてこともよくあった。 2001年9月6日には続編の『シェンムーII』がドリームキャストで発売。2019年11月19日には、前述の『シェンムーIII』がプレイステーション4(PS4)及びPCで発売された。そして2022年5月には『シェンムー』がアニメ化され、大きな反響を呼んだ。なお、本作で遊ぶなら1作目と2作目がセットになった『シェンムー I&II』がおすすめ。