宇多丸「『オレたちひょうきん族』のエンディングテーマって…」松任谷由実コラボベストアルバムで『SATURDAY NIGHT ZOMBIES』を選んだ理由
松任谷由実がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「Yuming Chord」(毎週金曜11:00~11:30)。11月24日、12月1日(金)の放送は、「RHYMESTER&岡村靖幸 cheers 松任谷由実~“ユーミン”先輩と乾杯‼~」と題して、2週にわたり宇多丸さん、Mummy-Dさん、DJ JINさんからなるヒップホップ・グループRHYMESTERと岡村靖幸さんをゲストに迎えてお送りしました。12月20日(水)リリースのアルバム『ユーミン乾杯!!~松任谷由実50周年記念コラボベストアルバム』に参加した2組が、ユーミンとアルバムの制作秘話を語り、ここでしか聴けない貴重なトークを繰り広げます。 この記事では、11月24日(金)放送の模様を紹介。ここでは、RHYMESTERがコラボ曲を「SATURDAY NIGHT ZOMBIES」に決めた理由、制作で意識したポイントを語ってくれました。
◆最初のオファー相手はRHYMESTERだった!?
ユーミン:『ユーミン乾杯!!』は、私が信頼するアーティストのみなさんに、楽曲のデータをまるごと預けて好きなように料理してもらった曲を集めたコラボアルバムです。 RHYMESTER cheers 松任谷由実の「SATURDAY NIGHT ZOMBIES」は、最初にオファーをしました。というのは、2013年に私のデビュー40周年ライブのステージで一緒に披露することが決まっていたの。そのときにこの曲を選んでくれたのが本当に嬉しくて。「なるほど!」とも思った。この曲は、原体験から馴染みがある? Mummy-D:これは宇多丸が選びました。 宇多丸:「オレたちひょうきん族」(フジテレビ系)のエンディングテーマですよね。その前のエンディングテーマもユーミンさんの曲で「土曜日は大キライ」でしたね。「オレたちひょうきん族」のエンディングテーマって、(山下達郎さんやEPOさんなど)今でいうシティポップの綺羅星のごとき名曲たちが飾っているんですよ。お笑い番組だけど、すごくスタイリッシュに終わる。80年代初期~後半にかけての、すごく景気のいい世の中の雰囲気とあわせて、おそらく、これから“夜遊び”に行く前のBGMでもあったと思うんです。ちょうど、この曲がリリースされた頃は、初期のクラブなどが西麻布とかにできるようになって。ユーミンさんも、本当にあの辺で遊んでいるような感じが浮かびました。 ユーミン:バレちゃった(笑)。 宇多丸:なおかつ、「SATURDAY NIGHT ZOMBIES」にはホラーやハロウィン風味が入っていますが、80年代半ば頃のサブカルチャー的な空気で、ホラー映画がすごく盛り上がっていましたし。ユーミンさんもお好きですよね? それを、すごく浮かれた空気と重ねる感じが、めちゃくちゃイケていて。あと、BPMがめちゃくちゃ遅いじゃないですか。 ユーミン:遅いね。 宇多丸:当時の新しいヒップホップが出てきたときのグルーヴ感と一致していて、「なんてイケているんだ!」という感じで、僕はずっと大好きな曲なので「SATURDAY NIGHT ZOMBIES」をご提案させていただきました。 ユーミン:すごく嬉しかった。今回のアルバム『ユーミン乾杯!!』では、さらにバージョンアップしてくださいました。 Mummy-D:まず、80年代にユーミンさんたちがどんな機材で、どんなスタジオワークをしていたのか興味があるわけですよ。 宇多丸:研究したくなるよね。 Mummy-D:そして、加工前の全トラックを聴けるわけよ。俺、作っているときに“お守りの中身”を覗いているような(気持ちになった)。 宇多丸:「わ~! 見ちゃった!!」「聴いちゃった!」みたいなね。 Mummy-D:そうそう。俺も、そのときのシンセを掘り起こして、「たぶんJUPITER(ジュピター)で弾いているぜ」とか、そういうところまで掘り起こして作りました。 ユーミン:よかったね。勉強になったね! Mummy-D:めっちゃ楽しかった(笑)!