積極的に活用しないと損をする 国や地方自治体からもらえるお金とは?
あまり利用されていないのはなぜか?
こうした利用できる制度があるにもかかわらず、制度を知らないために利用していない人は結構たくさんいると思います。その理由は国の制度が全て申請主義になっていることから、こうした社会保障給付や税の還付は原則として申請しなければもらえないからです。 別に申請なんかしなくても自動的に給付してくれたらいいのではないかと思われるかもしれませんが、これは申請主義でないと具合が悪いのです。まず行政側では正確な情報がわかりません。病気をしたり、失業したりしても自動的に国に通知されるわけではありませんし、給付金を受け取るにしても振込先の銀行口座を知らせる必要があります。仮にこういう情報をすべて国で管理することになると行政のコストは今とは比べ物にならないぐらい膨大なものになってしまいます。それに個人の細かいプライバシーまで全部把握することが必要になりますから、それはあまり気持ちのいいものではありませんよね。 結局、どんな制度があるのかをよく知っておいて、何か事が起こったときに申請するというのが一番合理的なのです。今ならネットでもそういうサービスの一覧を確認することができますし、地方自治体では、例えば「市政ニュース」のようなものが各戸別に配布されたりしていますが、そういうところにも給付金に関するさまざまな情報が載っていることがあります。 私は日本の社会保障制度や公共サービスというのは意外に充実していると思います。それらを知ることで「保障」に関しては何から何まで自分のお金を使う“自助”で備える必要はなく、“公助”を有効に使うことによってその分のお金を自分で老後資金を作る助けにすることができると思います。 (経済コラムニスト・大江英樹)