朝ドラ「スカーレット」スタート 北村一輝が父親役を好演
戸田恵梨香主演のNHK連続テレビ小説「スカーレット」が30日からスタートした。101作目の朝ドラは焼き物の里・信楽を舞台に、女性陶芸家・川原喜美子の波乱万丈な人生を描く。初回は昭和22年、喜美子9歳の子ども時代から始まった。川原家は、父・常治が借金から逃げるために大阪から信楽に転居してきたという状況。そんなどうしようもない面を持ちながらも子どもを愛し、どこか憎めない常治役を、朝ドラ初出演の北村一輝が好演している。
常治の人物像しっかり伝える
初回では常治が、喜美子と近所の男の子とのケンカに巻き込まれる形になった。喜美子がケガをさせられたと知った常治は瞬間湯沸かし器状態で、相手の家に怒鳴り込みに行く。しかし、実は逆に近所の男の子のほうが喜美子にコテンパンにされていたと知り、あ然というオチ。直情型だが根底には優しさをたたえる常治の人物像を、北村の芝居がしっかり伝えている。場面の展開もテンポよく、今後も楽しめそうだ。
滑り出しは子役たちの活躍にも注目
少年時代から映画を観て育ったという北村。当時はジャック・ニコルソンやアル・パシーノにあこがれていたというが、過去の取材で、自身が演じることの意味や芝居の方向性について聞くと、こう話してくれた。 「たとえば『ロッキー』のシルベスター・スタローンや『スーパーマン』のクリストファー・リーブのような役どころにはあこがれないんです。かっこいいな、とは思いますが、そのまわりにいる人に惹かれる。だから自分も、主役とかやってかっこいいっていうより、なんかこの人の演技、味があるよねとか、それこそクリストファー・ウォーケンとか、ああいう人にあこがれますね。助演でも作品を支えているような……」 朝ドラの前作「なつぞら」では、おじいちゃん役の草刈正雄が、まさに作品を最後まで支えていた感があるが、「スカーレット」では北村が存在感を発揮しそうだ。まだ今後の展開次第でどうなるかはわからないが、そんな期待を抱かせてくれるに十分な好演ぶりだった。 また、喜美子の子ども時代を演じる川島夕空、幼なじみ・熊谷照子役(大島優子)の子ども時代を演じる横溝菜帆ら、滑り出しは可愛く個性的な子役たちの活躍も見どころだ。 (文・志和浩司)