女子日本代表の紅白戦で抜群の存在感、吉田亜沙美が強調する変わらない目標「OQTは金メダルを取るための通過点に過ぎない」
「課題はたくさんありますが、こうしていこうと徹底してプレーすることはちょっとずつできてきています」
今回の紅白戦で吉田は、多くの若手と一緒にプレーした。その内の1人は、自身が東京医療保健大でアシスタントを務めていた時、選手として在学していた木村で、かつての教え子と代表で一緒にプレーできたことの喜びをこう語る 「一緒にツーガードで出た時はうれしかったです。同じ東京成徳大高校出身ですし、医療では選手とコーチの立場でしたけど一緒にやっています。恩塚さんのバスケットを大学で2人とも理解していて、やりやすい部分もあります。木村から学ぶべきものもありますし、木村には私から盗んでもらいたい部分もあるので、2人で高め合っていきたいです」 OQTの対戦相手であるスペイン、カナダ、ハンガリーは揃って強烈なフィジカルを備えたチームだ。現役復帰後、吉田はWリーグの試合しか経験していない。国内では感じられない海外勢の激しいプレッシャーをトレーニングマッチで経験することなく、いきなり本番を迎えることになる。 それでも「不安なのと、楽しみなのと半々です」と吉田に動揺はない。「ここにいる選手たちもすごくタフでフィジカルが強いので、ついていくのに必死です。そこに慣れて当たり負けしない身体をもう1回作って行かなければいけないと思います」 日本代表における以前の吉田は絶対的なエースガードだったが、36歳の大ベテランとなった現在は求められる役割も違う。「2分、3分出て流れを変える部分」と言及したように、本人もそれは十分に理解している。だが、代表選手として目指すのは頂点であり、全身全霊を捧げて日の丸を背負う覚悟はこれまでと全く変わらない。「OQTはオリンピックで金メダルを取るための通過点に過ぎないです。どの選手もその覚悟を持ってやってきていると思いますし、そこは私もブレずに変わらないです」 そして、「課題はたくさんありますが、こうしていこうと徹底してプレーするところはちょっとずつできてきています。これを継続して遂行することを極めていきたいです」とチームの成長に手応えも得ている。 恩塚ヘッドコーチは総力戦で戦う上で、代表12名の内、最後の2枠、3枠については「いろいろな要素があり、チームが成熟していく中でどの要素が必要か見極めたいと思います」と、特別な個性を持った選手たちを加えたい考えを示唆している。そして、吉田には日本バスケットボール史上に残る彼女にしかできない唯一無二のゲームメークがある。出番が限定される可能性は高いが、ベルギーで行われた前回のOQT以来となるFIBAの公式戦に出場する吉田をハンガリーのOQTで見られたとしても決して驚きではない。そう感じる紅白戦での巧みなプレーだった。