“衝撃のダウン”からなぜ負けた? 悪童ネリが井上尚弥戦の舞台裏での苦悩を告白「俺は計量のクリアに集中しすぎた」
「計量をクリアすることは汚名を返上するようなもの」
この規制を受け入れることで、JBCから設けられた日本での活動停止とライセンス申請の剥奪という処分解除となるネリ。彼は万全の肉体を仕上げ、何の不満も漏らさずに受け入れ、リングに立っていた。 しかし、舞台裏では苦悩もあったようだ。『Global Comunicacion』で「俺に欠けていたのは、より近い階級の強いスパーリングパートナーとのトレーニングに焦点を当てることだった」と告白したネリは、こう続けている。 「とにかく計量をクリアすることに集中しすぎたんだ。メモに『お前の意識の全てを軽量をクリアすることに向けろ』と書いていたんだ。それぐらいに計量をパスすることに焦点を当てていた。俺は体重のことで常に批判されてきたからね。だから常に体重をチェックして、クリアすることに全力で集中していた」 負け惜しみと取れなくもない発言だ。しかし、そこにはネリにもボクサーとしてプライドもある。「代替選手」として元IBF世界同級王者のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)が用意された事実に対し、「俺の予備になる選手が用意されたことで、『絶対にクリアしてやる』と思った」という29歳のメキシカンは、当時の胸中を振り返る。 「計量をクリアすることは汚名を返上するようなものだった。なぜなら俺は日本で減量失敗が原因で世界タイトルを失っていたからね。計量が上手くいかないと、精神的な面で試合前から負けている感じはする」 結果的に井上の強靭な強さを前に屈したネリ。「試合がどうなったかは置いておいて、良いスタートが切れたとは思った」と振り返った表情は、どこか吹っ切れたように見えた。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]