高橋ヨシキが映画『モンキーマン』をレビュー!
日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』! すべてを奪われた"猿男"の豪快復讐アクション! * * * 『モンキーマン』 評点:★3点(5点満点) 「やりたいこと」をぎゅうぎゅうに詰め込んだ映画 幼い頃に母を殺された主人公は、闇のファイトクラブで猿のマスクをかぶった"殴られ屋"として生計を立てている。そんなある日、自分からすべてを奪ったヤツらのアジトを発見。彼は「モンキーマン」となり壮絶な復讐劇を始める! 前情報なしに観ていて「もしかして、主演の俳優が監督も兼ねているのでは......?」と思ったら実際そうだった。 なぜそう思ったか明確な理由はないが、おそらく本作が「自分のやりたいこと」をぎゅうぎゅうに詰め込んだ作品だからだろう。台詞回しが全て映画でしか耳にしない「カッコいい、クールな一言」ばかりなのもその感覚をブーストさせる。 ブルース・リーから『ジョン・ウィック』まで(2015年の映画『ハードコア』を思わせる瞬間すらある)、古今東西のアクション映画、バイオレンス映画の「カッコよさ」を縦横無尽に取り込んだ怒涛のアクションは非常に見応えがあり、また「そうそう、そうこなくっちゃ!」という定番の「胸熱展開」にも事欠かない作品である。 ただ、主人公を動機づける過去の因縁について、断片的なフラッシュバックを見せるだけでなかなかそれを明らかにしようとしなかったのは構造的に問題がある。復讐譚なのは分かっても、その原因が明確にならないうちは観客が主人公の行動の是非を判断できないからだ。 その部分を引っ張ったせいで尺が長くなってしまったきらいもあるが、後半の大暴れはそれを補って余りある。 STORY:幼い頃に母を殺された主人公は、闇のファイトクラブで猿のマスクをかぶった"殴られ屋"として生計を立てている。そんなある日、自分からすべてを奪ったヤツらのアジトを発見。彼は「モンキーマン」となり壮絶な復讐劇を始める! 監督・脚本:デヴ・パテル出演:デヴ・パテル、シャールト・コプリー、ピトバッシュほか上映時間:121分 全国公開中