「年金が足りなさそうなら企業年金に入れば?」と友人から言われました。すべての企業で導入されているのでしょうか?
勤務先に企業年金がある場合は、将来、国民年金や厚生年金に上乗せして年金を受け取れる可能性があります。企業年金は「年金の3階部分」ともいわれ、老後資金対策としても重要です。 本記事では、企業年金の特徴や種類について詳しく解説します。本記事を通じて、企業年金制度に関する理解を深めてください。
企業年金とは
企業年金とは、企業が公的年金を補完する目的で任意に設定する私的な年金制度であり、国民年金(老齢基礎年金)や厚生年金(老齢厚生年金)などの公的年金に上乗せして受け取ることができます。 企業年金は、企業が福利厚生の一環として導入しており、受け取り方法などは企業ごとに異なります。すべての企業が企業年金を導入しているわけではないことに注意してください。
企業年金は3種類
企業年金と一口に言っても、厚生年金基金、確定給付企業年金(DB)、企業型確定拠出年金(企業型DC)の3つの種類が存在します。それぞれで年金の運用方法などが異なるため、事前に特徴や違いを理解しておくことが重要です。 本項では、3つの企業年金の特徴について見ていきましょう。 ■厚生年金基金 企業は単独または共同して厚生労働大臣の認可を受けることで、厚生年金基金を設立できます。厚生年金基金は、厚生年金の一部を国の代行として独自に上乗せして運用されます。この上乗せにより、加入者は年金を増額可能です。 ただし、法改正により、厚生年金基金の新規設立は2014年4月1日以降停止されており、実質役割を終えた制度となっています。 ■確定給付企業年金(DB) 確定給付企業年金(Defined Benefit Plan:DB)は、従業員と企業の間で給付額などを規約で取り決め、退職後に、その規約にもとづいて給付を受けることができる企業年金制度です。 確定給付企業年金は「給付建て年金」ともよばれ、基金型と規約型の2つの実施方法があります。年金資産は一括して運用され、運用のリスクは企業が負います。 ・基金型 企業が設立した企業年金基金が、管理・運用・給付を行います。厚生労働大臣の認可を受けて母体企業とは別法人を置き、独立した立場で企業年金制度を運営するのが特徴です。基金の設立に当たっては、加入者数が300人以上であることが要件です。 ・規約型 企業が労使合意のうえで規約を作成し、厚生労働大臣の承認を受けて実施します。信託会社や生命保険会社と契約し、掛金を拠出して、信託会社や生命保険会社が管理や運用を行います。 確定給付企業年金は、従業員が自ら資産を運用する必要がなく、受取見込額が分かりやすいため、老後の生活設計が立てやすいのが特徴です。 ■企業型確定拠出年金(DC) 確定拠出年金(Defined Contribution Plan:DC)は「掛金建て年金」ともよばれ、事業主が掛金を拠出し個人ごとに運用する「企業型年金」(企業型DC)と、国民年金基金連合会の委託を受けた金融機関に個人で申し込みと掛金を拠出していく「個人型年金」(iDeCo)の2種類があります。 確定拠出年金では、従業員が自ら運用し、その成績によって将来受け取ることができる年金額が変動します。