【イギリス総選挙2024】スーナク首相「すさまじく怒っている」 与党関係者に選挙賭博疑惑
イギリス総選挙について、投開票日がいつになるか与党・保守党の複数関係者が賭けていたという疑いが相次ぎ浮上している。この状況についてリシ・スーナク首相は20日、BBCの選挙特番で「すさまじく怒っている」と述べ、賭博法違反が見つかった者は 誰だろうと党から「追放する」と約束した。 選挙賭博疑惑については、保守党の選挙対策幹部のほか、スーナク首相の警備チームの警官1人、保守党から出馬している候補者2人の計4人が、イギリス政府の賭博監督機関「賭博委員会」の調査を受けているとこれまでに分かっている。 守秘義務の対象になる情報をもとに、賭けで不当に有利になる行為は、イギリスの賭博法違反で、刑事訴追の対象になり得る。 一般市民が政治関係者などに直接質問するBBC番組「クエスチョン・タイム」の選挙特番では、保守党関係者の選挙賭博について一般参加者から質問され、スーナク首相は「このような疑惑を知って、すさまじく怒っている、すさまじく怒っている」と答えた。 観客に向かって首相は、「本当に深刻な問題だ。関連当局によって適正に調べられるのは当然だ」と続け、「そのプロセスは尊重しなくてはならない」とも述べた。 さらに、保守党の党首として「自分が言えることは、ルール違反が明らかになれば、その人は法的責任を全面的に追及されるだけでなく、絶対に保守党から追放するようにする」とも約束した。 続いて番組に出演した最大野党・労働党のキア・スターマー党首は、一部の政治家は「政治にかかわるのは金もうけや私利私欲のためだと、そういうつもりでいる」と批判。「だからこそ、政治をまた奉仕に戻さなくてはならない」と述べた。 野党・自由民主党のムニラ・ウィルソン報道官は、「もし(首相が)本当にこのスキャンダルに立腹しているのなら、問題の保守党候補者をただちに処分し、出馬を取りやめさせたはず」だと批判した。 政府の賭博委員会が調査している保守党候補の一人、ローラ・ソーンダース氏(イングランド南西部ブリストル・ノースウェスト選挙区)は、弁護士を通じた声明で、「賭博委員会に協力する。これ以上付け足すことはない」と述べた。 選挙の日程についていつ、どの程度の額が賭けられていたのかは明らかになっていない。 BBCニュースは20日、賭博委員会がソーンダース氏を調べていると報道した。これについて同氏の弁護士は、「この報道は時期尚早で、ソーンダース氏のプライシーを明らかに侵害するものだ。同氏はBBCをはじめ、自らのプライバシー権を侵害するあらゆるメディアに対する法的措置を検討している」とも述べた。 さらに、「報道を通じたこのような調査は、いかなるものでも不適切だ。こうしたまねは、賭博委員会の作業や委員会調査の公平性を脅かすものだ」とも批判した。 これについてBBC広報は、「BBCは自らの報道内容に自信を持っている」、「ローラ・ソーンダース氏は選挙の立候補者であって、それだけに彼女に向けられた疑惑を知ることは明らかに、公共の利益にかなう」ことだと説明している。 賭博疑惑で調べられている保守党の選対幹部、トニー・リー氏は、ソーンダース氏の夫。 これに先立ち今月12日には、スーナク首相の議会担当秘書官だったクレイグ・ウィリアムズ氏が、総選挙の期日について賭けていたことを認め、「とてつもない判断ミス」だったと謝罪している。 ウェールズの選挙区から立候補しているウィリアムズ氏は、首相が5月22日に解散総選挙を発表した3日前、総選挙は7月になると100ポンドをかけていたとされる。 首相が7月4日の選挙を発表するまで、多くの政界関係者は秋の選挙を予想していた。 さらに今月19日には、首相の警備チームの一人だった警察官が選挙日程について賭けていた疑いで、ロンドン警視庁に17日に逮捕されていたことが、BBCの取材で明らかになった。 (英語記事 Sunak 'incredibly angry' over alleged election betting)
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