「その人が人生を保証してくれるわけではない」山崎怜奈×小説家・多崎礼が語るSNSとの向き合い方
---------- 本書に「物語に浸るとはこういうことか。人間のリアルを突きつけてくる、至高のファンタジー」と推薦コメントを寄せたのは、ラジオ番組『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』(TOKYO FM)のパーソナリティ、Web番組『ABEMA Prime』(ABEMA)のコメンテーターなどで活躍する、山崎怜奈さん。 小説『レーエンデ国物語』の作者である多崎礼さんとの対談では、「装丁」をきっかけに惹かれたというシリーズへの愛を熱弁。やがて、2人の話は「言葉」との向き合い方に及んだ。 この記事はダ・ヴィンチWebからの転載です。 ---------- 【写真】山崎怜奈×小説家・多崎礼が語るSNSとの向き合い方 ---------- こちらの記事は後編です。 前編【「現実との境界線がないと感じました」山崎怜奈さんが語る『レーエンデ国物語』と「言葉」】からお読みください。 ----------
SNSでの“あらぬ声”といかに向き合うか
――ここまでの対談で、多崎先生から見た山崎さんの印象はいかがでしょうか? 多崎:心を見透かされそうなほど、鋭い目線をお持ちですよね。言葉の鋭さもあって、私は好感を抱いたんですけど、誤解されてしまうときもあるのかなと。 山崎:幼少期からずっと、コンプレックスだったんです。自分が言葉で他者を傷つけたかもしれない、とその場で、その瞬間に気が付いてしまうので、会話への抵抗感もありました。そこから、誰かのしゃべっているラジオを聴き、誰かの書くエッセイを読むようになったんです。アイドルグループ時代も大人しい印象のメンバーが多い中で、自分は言葉が鋭くなりがちだったのも、コンプレックスでした。 多崎:キャラが立っていますし、自信を持っていいと思います。 山崎:フォローしていただき、ありがたいです。コメンテーターのお仕事では、ニコニコしながら思ったことをまっすぐに発言しますし、鋭さに気が付きながらも「今、言っちゃった…」となるタイプなので、タチが悪いのかなと思うんです(苦笑)。かたや、連載を担当させていただいているエッセイ(Hanako Web『山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」』)では、冷静に素直な思いを書いています。 ――言葉のお話では、多崎先生はSNSでの批評など、あらぬ声が気になってしまうそうですね。 多崎:そうなんです。意図したものが伝わらないのが、辛いんですよ。小説は理解されないと意味がなく、表現が誤解されると“書いているけど、伝わらなかったか…”と、自分に対してガッカリします。ですから最近、ミュートするというワザを覚えました。アイドルグループ時代から、たくさんの声にふれてきた山崎さんの経験も聞きたいです。 山崎:過去には、誰かの言葉に傷付いて死にたくなる瞬間もあったとは思います。でも、自宅でなくなったトイレットペーパーを補充していたときにふと“どんなに嫌なことがあっても結局明日も生きていこうとしている”と気が付いたんです。SNSで批判されて、納得できるほどの説得力があるなら“直そう”と受け止めますけど、そうでなければ“表現しないと、いてもたってもいられなかったんだろう”と思って。感情のままにつぶやいているなら、意見に乗っかったところでその人が人生を保証してくれるわけではないし、気にすることもないと割り切っています。 多崎:参考になります。ちなみに、小説を書きたい意欲はあるんですか?