北朝鮮の鬼姫・金与正「日朝交渉拒絶」談話に狼狽えるな…何せ相手は「3日後に何が起こるか分からない国」だから
サッカー日本代表の入国拒否
いまから35年も前、私がまだ駆け出しだった頃、ソウルで著名な北朝鮮専門家から、こう諭されたことがあった。 【写真】こんな北朝鮮、見たことない…!写真家が29年撮り続けた“未知の国”の日常 「わが国(韓国)は、3年後に何が起こるか分からない国だ。だが北韓(北朝鮮)は、3日後に何が起こるか分からない国だ。それには吉事も凶事もあるが、とにかく一寸先も読めないのが、北韓という国なのだ。だからあの国を見る時は、いつも心の片隅に諦念を持ちながらも、あくせくしないことだ」 先週の日本と北朝鮮の様々な「応酬」を見ていて、まさにこの箴言を思い起こした。まずは日本にとって「吉事」から述べよう。 3月23日に若い宮本恒靖会長(47歳)体制に代わった日本サッカー協会が、30日、「FIFA規律委員会の決定について」と題した発表を行った。 〈 3月26日に開催予定だったFIFAワールドカップ26アジア2次予選 兼 AFCアジアカップサウジアラビア2027予選 朝鮮民主主義人民共和国代表対SAMURAI BLUE(日本代表)の試合中止を受けて、3月30日、FIFA規律委員会よりこの試合は0-3で朝鮮民主主義人民共和国代表の敗戦として没収するとの決定が通知されました 〉 朝鮮民主主義人民共和国とは、北朝鮮のことだ。予選はホーム&アウェイ方式で行われるが、3月21日に東京・国立競技場で行われたホーム戦は、周知のようにMF田中碧(デュッセルドルフ)が前半2分に決めた得点(実に考え抜いた鮮やかなシュートだった! )を、日本が守り切って、1-0で勝利した。 次のアウェイ戦は、26日に平壌の金日成(キム・イルソン)スタジアムで行われる予定だったが、北朝鮮側が日本代表の入国を、突然拒否。第三国での開催を模索していたが、調整がつかなかった。 拒否した理由は、東京で起こっている感染症を恐れたという説が有力だ。『東京新聞』(3月22日付)はこう報じている。 〈 東京都内で今年、極めて致死率が高い「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」の患者数が、過去最多だった昨年を大きく上回る勢いで増加している。都は手足の痛みや発熱などの症状がある場合、すみやかに医療機関を受診するよう呼びかけている。 22日の都感染症対策連絡会議で報告があった。2024年の患者は17日時点で88人。141人だった23年と比べ3倍のペースで感染が確認されている。23年は約3割の42人が死亡した(以下略) 〉 日本では小林製薬問題一色でスルーされているが、韓国ではこのニュースを大々的に報じた。それに北朝鮮が、「すわ、コロナ禍が再現されたら大変だ」と過剰に反応した。でも、他の理由もあったのかもしれない。 ともかく、就任したばかりの宮本会長は、北朝鮮の突然の言動に当惑しながらも、3月30日にこう述べた。 「3月26日に平壤で試合が行われなかったことについて、日本時間の本日(30日)未明にFIFA規律委員会の決定内容を受け取りました。この試合の取り扱いに関するステイタスが更新されたことは良かったと思います。 ワールドカップ予選突破に向けて、森保監督やスタッフ、選手たちには引き続き良い準備をして試合に臨んで欲しいですし、JFAとしてもしっかりとサポートをしていきます」 つまり、FIFAの裁定により、2試合合わせて日本が3-0で勝利したことにされたのだ。 ここまでが「吉事」で、ここからは「凶事」である――。