幕末長崎で活躍した茶の貿易商大浦慶没後140年 研究会が7月末まで懸賞論文募集 「ミステリーな史実解明を」
長崎市で記念シンポ、160人参加
幕末の長崎で活躍した茶の貿易商、大浦慶(1828~84)の没後140年を記念したシンポジウムが、命日にあたる13日、長崎市尾上町の出島メッセ長崎であった。大浦慶に関する史実解明に取り組む「長崎・大浦慶日本茶輸出歴史研究会」(前田拓代表)が主催。約160人が参加した。 【写真】大浦慶にちなんだスイーツ 近世日本史に詳しい米ウェイク・フォレスト大のロバート・ヘリヤー教授が講演。大浦慶の茶輸出の始まりを1856年とする通説に対し、最初に茶を注文した英国商人ウィリアム・オルトについて研究したヘリヤー氏は、「1856年にオルトが長崎に寄港した記録は確認できず、この年に大浦慶と取引した可能性は低い」と指摘。日本茶取引が始まったのは、オルトが長崎に移住した59年ごろとする見方を示した。 続くパネル討論で、姫野順一・長崎外国語大前学長は「通説の年代は揺らいでいるが、オルトが大浦慶に3000両の金を立て替えたなどの傍証から、茶貿易を通じて信頼関係があったのは確か」と解説。長崎市出身で、約40年にわたって米国を拠点に茶の輸出販売を手がける前田代表は「大浦慶にはミステリーな部分も多い。歴史のロマンで終わらせず、国内外の史料発掘などを通じて史実を解明したい」と話した。 研究会は、日本茶輸出に関する新史料や新たな解釈に基づく懸賞論文を7月末まで募集している。 (前田徹)
西日本新聞