巨人フロントの方針ブレに批判の声。なぜ中島、岩隈を獲得して長野、内海を“放出”したのか?
巨人がFAで獲得した丸佳浩(29)の人的補償として長野久義(34)が広島へ移籍することが両球団から発表された。長野はドラフト時に入団拒否してまで巨人にこだわりジャイアンツ一筋できた生え抜き。昨年も規定打席には達しなかったが、打率.290、13本塁打、52打点の成績を残していた。同じくFAで獲得した炭谷銀仁朗(31)の人的補償で西武に移籍した内海哲也(36)に続く、生え抜き功労者の放出はチームの内外に衝撃を与えている。巨人ファンの間からは、他球団を“戦力外”になった中島裕之(36)、岩隈久志(37)らのベテランを獲得する一方で、生え抜きのベテランを放出する巨人のフロントの方針の“ブレ”を批判する声が起きている。 まさかの長野の“プロテクト外し”だった。内海に続く生え抜き功労者の放出に一部の巨人ファンからの批判の声がSNSやネットニュースのコメント欄にあふれた。 「チーム貢献者を出して余所者を入れる巨人でいいの?」 「チームの若返りのプロテクトとか言いながら岩隈や中島を取るチームに良い影響があるとは思えない」 「若手中心にプロテクトをして長野が外れたんだろうが、それなら、なぜ岩隈、中島を獲得したのか? 意味がわからん。フロントは何を考えてんだよ」 批判の大半は中島、岩隈というベテランを外部から獲得しておきながら、一方で、同じ生え抜きのベテランをプロテクトしなかったフロント方針の一貫性のなさを指摘するものだ。 オリックスを自由契約になった中島の昨年の成績は、77試合(251打席)でヒットが65本(打率.289)、5本塁打、34打点。一方、長野は、116試合(426打席)でヒットが111本(打率.290)、13本塁打、52打点の成績だった。内外野の違いはあるが、同じ右打者として、どちらが戦力であるかは明らかだ。 岩隈と内海を比較すると昨年の岩隈は、2017年オフの右肩の手術の影響でメジャー登板はない。9月のテスト登板でストレートは142キロをマークして復活の兆しは見えているが、ローテーを1年間守れるかどうかには疑問符がつく。 一方内海は、昨年14試合に先発、防御率4.17、5勝5敗の成績だった。左右の差はあるが、岩隈は未知数。使い勝手で言えば内海の方があるのかもしれない。 巨人フロントは「若手への切り替え」を長野の“プロテクト外し”の理由としている。だが、全体の補強の動きからすると矛盾するし、長野の放出を「断腸の思い」と言われても説得力は薄い。まるでベテランを入れ替えしただけのような“プロテクト外し”になってしまったのである。 元阪神、ダイエー、ヤクルトでプレーした評論家の池田親興氏は、「おそらく給料が高くベテランの長野には広島が手を出してこないという甘い読みがあったのかもしれない。それにしても長野をプロテクトから外したのはまったく不可解。長野に相当する若手は誰だったのだろうか」と疑問を投げかける。 ちなみに長野は今オフに推定年俸2億2000万円で契約更改をしている。丸は、Aランクだったため、広島には、長野にプラスして金銭補償としても丸の年俸の50パーセントにあたる1億500万円が入る。それを差し引けば、長野の年俸は1億円ちょっと。マツダスタジアムが連日満員で、広島の好調な経営状態からすれば、長野の獲得に乗り出すことは巨人側には十分に想定できたのではないだろうか。