【在宅介護の限界点】認知症85歳母の「妄想・作り話・鬼電」に家族は疲弊<一覧表>特養入所に向けてできることとは?【ケママネ助言】
大事なのは今【認知症の物盗られ妄想】でメンタルをやられないための対応方法3つ
認知症が進行すると、もの盗られ妄想などの症状は少なくなっていくことを前章にてお伝えしました。とは言え、ご家族は今大変な思いをされています。ここでは、もの盗られ妄想への対応方法について紹介いたします。 ●その1 まずは落ち着いて対応する もの盗られ妄想に対しては、肯定も否定もせず落ち着いて話を聞きましょう。一番不安を感じているのは本人です。まずは「物が無くなって不安な気持ち」に共感することで、相手を落ち着かせます。 認知症の人は、自分の症状に気付いていると言われています。その不安な気持ちを身近な家族にぶつけているので、冷静に受け止めることが重要です。 ●その2 探しているうちに忘れることも 落ち着いて話を聞いた後は、身の回りを一緒に探します。見つかったら「よかったね!」などと声掛けをするとよいでしょう。 また認知症の進行度合によっては、探しているうちに忘れることもあります。別の話題について話すことで本人の興奮が収まり、穏やかになることもあるのです。 ●その3 介護サービスを利用し負担を軽減 今回ご相談いただいた内容では、夜間にも電話がかかり仕事に支障が出ているとのことでした。そこでお勧めしたいのは、デイサービスなどの介護サービスを利用して、日中に適度な運動を取り入れることです。 他の利用者と交流したりレクリエーションをしたりすることは、ストレス解消になり体力も使います。夜によく休んでもらうためには、日中の活動を活発にすることが有効です。 人によっては、集団行動が苦手な方もおられます。その場合はヘルパーを活用するのも有効です。お母様とヘルパーさんがコミュニケーションをとりながら、一緒に家事などをするのもよいでしょう。
特養入所へ向けて行うべきこと
ここでは、特養入所へ向けて行うべきことについて紹介します。 ●主治医へ相談する もの盗られ妄想への対応方法については、前章にて解説しました。しかし認知症の症状は、人によって差が大きいものです。どんなに工夫しても対応が難しいケースもあります。 そんな時は、主治医へ相談し服薬内容を見直すことも重要です。服薬内容を見直すことで、症状が改善することもあります。決して一人で抱え込まず、ありのままを相談してください。 ●ケアマネジャーへ相談し区分変更を検討する 特養入所のためには、要介護3以上の介護度が必要です。症状が悪化していると感じたときは、ケアマネジャーへ介護度の区分変更を依頼しましょう。 介護度は「介護に必要な手間や時間」で判定されます。昼夜問わずに電話がかかることや、ご自分の仕事に影響が出ていることも全てケアマネジャーへ伝えましょう。 ●グループホームやショートステイを活用する方法も 区分変更を行っても、希望の判定が出ないこともあるかもしれません。そんな時は、グループホームへの入所を検討するのも一つの選択肢です。 グループホームであれば、要介護2の方も入居できます。グループホームは正式には認知症対応型共同生活介護と呼ばれており、認知症対応に特化した施設です。 少人数制のユニットで構成されており、利用者同士で家事などを役割分担しながら生活を送ります。 またショートステイを利用し、ご家族の精神的な負担を軽減することも必要かもしれません。主治医や担当ケアマネジャーと相談しながら、ご家族に無理のないように支援なさってください。