AIが高齢者に避難呼びかけ、早めの行動促す 個々の災害リスクを把握し対応 広島県が2024年度試行
広島県は2024年度、人工知能(AI)のデジタル端末を使い、大雨災害時に高齢者に早めの避難を促す取り組みを始める。災害時に避難行動を取る人の少なさが課題となる中、AIによる個人の状況に合わせた避難の呼びかけを試行し、効果を確かめる。 【イメージ図】AIデジタル端末による避難の呼びかけ 県の想定では、対話が可能なデジタル端末を高齢者に貸与し、自宅に置いてもらう。高齢者が居住地や年齢などを端末に話しかけることで、AIが土砂災害警戒区域などの災害リスクを把握。避難情報が発令されると端末が警戒レベルに応じた行動を促す。8日発表した24年度当初予算案に関連経費850万円を計上した。 21年8月に県内各地を襲った大雨災害後、県が土砂災害警戒区域などの住民を対象に実施した調査では実質的な避難行動をした人の割合は5・7%にとどまっていた。 県は早期の避難に向けて、事前に行動や手順をまとめる「マイ・タイムライン」の作成を県民に呼びかけてきた。特にスマートフォンで作成できるデジタル版の普及を図っていたが、高齢者が使いにくい課題があった。 県の調査では、避難行動のきっかけは家族や近所の人たちの声かけが多い傾向を踏まえ、災害リスクの高い高齢者を対象にデジタル技術を使った呼びかけを試行する。 県は広島大防災・減災研究センターと連携して今夏以降の台風シーズンに実証実験ができるよう仕組みを整える。県みんなで減災推進課は「AIを防災分野でどのように使えるか検証したい」としている。
中国新聞社