ジンベエ再び のとじま水族館で展示
●志賀町沖で捕獲、1頭元気に泳ぐ のとじま臨海公園水族館(七尾市)は11日、能登半島地震で犠牲となったジンベエザメの展示を再開した。志賀町沖で捕獲された雌1頭が水族館横の海上いけすから巨大水槽に移された。震災から9カ月余りで「人気者」が戻り、来館者は悠々と泳ぎ回る姿に笑顔を浮かべた。 ジンベエザメは9月上旬に定置網にかかった体長4・4メートルの個体。健康状態の確認や餌付けのため、いけすで飼育されてきた。 11日は早朝から飼育員ら約30人が搬入作業を行った。海上のいけすから移送用水槽に入れ、トラックで搬送。大型クレーンでつり上げ、約1時間かけて天井の搬入口から「ジンベエザメ館 青の世界」の水槽内に移した。 壁にぶつからないようにダイバーが誘導し、ジンベエザメは愛きょうある顔立ちで元気に泳ぎ回った。茨城県から夫婦で訪れた林恵さん(58)は「能登を支援しようと観光に来た。迫力あるジンベエザメを見て能登の復興が進んでいると感じた」と話した。 水族館は元日の地震でボイラーや循環装置が故障し、ジンベエザメ2頭を含む約90種3400匹が犠牲となった。全国の水族館から魚の寄贈を受けたほか、避難していたペンギンやウミガメが戻り、7月20日に営業を再開した。イルカやアシカは福井県や新潟県など5府県の施設に避難している。 12月1日まで来館者にジンベエザメの愛称を募集する。展示・海洋動物科の加藤雅文科長は「ジンベエザメが戻ってほっとした。水族館のシンボルに会いに来てほしい」と話した。 のとじま臨海公園水族館によると、国内でのジンベエザメ展示は同館のほか、海遊館(大阪府)、いおワールドかごしま水族館(鹿児島県)、沖縄美ら海水族館(沖縄県)。