宇都宮・元日弁連会長が3度目の都知事選へ「都政を変えたい思い強く」
宇都宮健児・元日本弁護士連合会会長(69)は11日、東京都知事選(14日告示、31日投開票)への出馬を正式に表明した。宇都宮元日弁連会長は、2012年と2014年に都知事選挙に立候補したが、いずれも落選しているが、「さまざまな都民の悩みごとの根本的解決には都政を変えるのが重要と考え、過去2回挑戦してきた。前回の選挙が終わったのち、仲間と都政の勉強を続けてきたが、都民ための都政という視点が欠落していると感じ、3度目の挑戦にいたった」と立候補の経緯を説明した。 【中継録画】宇都宮健児氏が会見 都知事選出馬を正式表明
宇都宮・元日弁連会長が掲げる重要政策は、 (1)都民の暮らし・福祉増進に全力を挙げる (2)首都直下型地震対策の抜本強化による防災および減災 (3)平和と人権と憲法を守る」 の3点。このうち、都民の暮らし・福祉増進では、保育園の待機児童ゼロ、小中学校の給食完全無償化、首都大学東京など都の教育機関の入学金・授業料の半減などとともに、「中小企業の支援とセットで、最低賃金を1500円に引き上げることを目指す。中小企業が元気でなければ地域はにぎあわない。都の融資制度で中小企業予算を大幅に拡充し、元気に営業できる環境を作りたい」と最賃の引き上げを公約に掲げた。 2020年の東京オリンピック・パラリンピックでの費用負担について、「都は五輪施設に2400億円を負担することになっているが、今後どれだけ膨れ上がるかわからない。これを全部つぎこめば、待機児童問題がすべて解決し、2万戸の都営住宅が建築できる。五輪はできるだけシンプルかつコンパクトにして無駄な金を使わず、浮いた金を都民の暮らしに使いたい」と述べるとともに、「五輪の予算が膨れるたびに、都が負担を増やす構造は改めるべき。都としても独自に調査して、無駄な経費削減を申し入れねば」として、東京五輪の負担増に釘をさす姿勢を示した。 東京都は過去2回にわたり、政治とカネの問題で知事が任期途中で辞職している。宇都宮・元日弁連会長は「クリーンな都政をつくるのは重要課題。そのために、都職員や議会の協力はもとより、都民自身がもっと都政をチェックする仕組みが必要と考える。都民評議会を作って、直接チェックできる仕組みを作りたい。また、行政から独立した行政管理オンブズマンのような機関も設置したい」として、都民評議会や行政管理オンブズマンといった新たな行政チェック体制を創設する考えを示した。 現在、政党からの推薦はまだ得られていないが、「前回も前々回も出馬会見時は政党の推薦が得られていなかったが、そのあとで支援要請にまわって推薦を受けた。今は参議院選挙が終わった直後で、野党の皆さんがどう対応するか把握していないが、この会見後に野党各党をまわって支援を要請したい」と述べた。 このほか、築地市場の移転については、「土壌汚染は深刻で、食の安全につながる問題。震災時に液状化現象によって汚染物質が地上に溢れたところで食材を扱うにふさわしいかも含めて、11月の移転を一旦中断し、土壌汚染の対策が十分かどうか点検したい」として一時中断が妥当との考えを示した。 最後に、宇都宮・元日弁連会長は「1回目、2回目を経て、3回目になって、都政を変えたいという思いは強くなっている。都政が第一にやるべきことは、都民の生活・福祉を充実させること。そうした政策は都民には必ず届くと信じている。全力で戦いたい」と訴えた。 (取材・文:具志堅浩二)