沈黙の臓器<腎臓>を守る食事と運動法「注意すべき食品添加物2種、自宅でできるゆったり運動2選」【医師監修】
ウォーキングは1日5000歩以上、週3~5
運動によって腎臓を鍛えることも重要となる。 腎臓病患者を「運動をしないグループ」と「1日40分の運動を週3回行なうグループ」に分けて1年間追跡調査した英国の研究では、運動しないグループが血清クレアチニン値、年齢、性別から計算されるeGFR(推算糸球体ろ過量)値を悪化させたのに対し、運動するグループでは数値の回復が見られたという。 「昔は運動すると尿たんぱくが増えて腎臓に負担がかかると考えられ、運動は禁忌とされていました。 しかし近年の研究では、長期にわたって軽めの運動を定期的に行なうことが腎機能の低下を防ぐとわかっています。激しい運動はかえって腎臓に負担をかけるため、あくまで適度な運動です。とりわけ有酸素運動が効果的で、1日5000歩以上、週3~5回のウォーキングを続けるのがよいでしょう」(同前)
腎臓を鍛える「ゆったり運動」
上月医師は、そうした有酸素運動に筋トレを加えることを推奨し、2つの運動を考案した。 それが「ヒップリフト」「ダイナミックフラミンゴ」だ。 ■ヒップリフト ヒップリフトは膝を立てて仰向けになった状態でスタート。息を吐きながら3~5秒かけてゆっくりとお尻を持ち上げる。そのまま5~10秒静止した後、息を吸いながらゆっくりお尻を戻す。5~10回を1セットとし1日3セットを目安にする。 ■ダイナミックフラミンゴ ダイナミックフラミンゴは椅子につかまり、胸を張って片足立ちをする。こちらは左右の足でそれぞれ1分ずつ、朝昼晩の一日3回行なう。 「有酸素運動と軽い筋トレを組み合わせることで、下半身の筋肉量や血流を増やし、腎機能の維持・改善効果が期待できます。腎臓病の70代女性がウォーキングと簡単な筋トレを始めたところ、わずか半年で腎臓の数値が驚くほど回復した事例もありました」(上月医師) そのうえで腎臓をきちんと休ませることも肝要だ。「寝る直前には食事を控え、1日7~8時間の睡眠をとることが望ましい」(同前)という。 長生きには健康な腎臓が欠かせない。 ※週刊ポスト2024年6月21日号