水戸市役所のトイレ案内表示が「非常に助かる」 当事者が絶賛...設置の経緯を聞いた
「当時の設計に携わった職員は喜んでいます」
水戸市役所のこうした配慮は、どのような経緯でできたものなのか。水戸市総務部財産活用課の担当者は、2018年に庁舎を建て替た際に決めたコンセプトの一つが「すべての人に優しい庁舎」だったと明かした。 そこで、ユニバーサルデザインやバリアフリーを専門にする高橋儀平・東洋大学名誉教授(高ははしごだか)がプロポーザルの審査員から竣工後の監修までを務めた。左麻痺・右麻痺の人に対応したトイレやその案内表示は、高橋教授のアドバイスを受けたものだという。 多目的トイレの配慮が話題になっていることについて、取材に応じた担当者は、自身は建設当時に担当していなかったものの、 「当時の担当者に話を聞くと、いろいろな人や先生の意見を聞いて、『なるほど』と言いながら、皆さんに喜んでもらい、使いやすくなるように設計して今の庁舎に至りました。5年、6年と経ってからお褒めのお言葉をいただき、当時の設計に携わった職員は喜んでいます」 と話した。
水戸市役所はほかにも
Hirokiさんは、トイレに関する配慮のほか、施設に「乗りやすいタイプのエスカレーター」があると嬉しいと明かす。「乗りやすいタイプのエスカレーター」とは、22年7月7日公開のYouTube動画によると、次のようなエスカレーターのことだ。これも水戸市役所にあるのだという。 (1)すぐに段差にならず、平坦な部分が長くゆるやかに段差になる(2)横幅が狭い(3)スピードが遅い 横幅が狭い方が良いのは、左端に立たなくてもよいのが理由だという。特に東日本ではエスカレーターの左端に立つことが慣習になっている。しかし、左側に麻痺のあるHirokiさんにとっては、不安定で危険だ。幅が1人分であれば、気にすることなく乗れるのだと話す。 さらに、水戸市の財産活用課の担当者によると、水戸市役所の多目的トイレには大人の介助用ベッドがあるという。これも高橋教授のアドバイスを受けて設置されたものだといい、「お子さんのおむつを替える場所はほかにも多くありますが、大人がオムツを替えられるベッドがトイレの中にあるというのは、あまりないそうです」と説明した。