阪神優勝、6年ぶり復帰の今岡打撃コーチ「打率低くても得点を」 「アレ」のキーマンに聞く(5)
プロ野球阪神の18年ぶりリーグ優勝を振り返るインタビュー連載。最終回は古巣に復帰した今岡真訪打撃コーチ(現役時代の登録名は「今岡誠」)。前回優勝した2005年は岡田彰布監督の下で主力選手としてプレーし打点王を獲得した教え子が、今年は指導者としてチームを支えた。(共同通信=松澤勇人) ―6年ぶりに阪神のコーチに復帰しました。 「ロッテと合わせたらもう(コーチとして)8年目なんですよ。不安は全くなかったですね。(岡田監督に)もう一回優勝監督になってもらいたい、もう一回優勝を味わわせてほしいなと。昨年は1年間評論家をやらせてもらいましたけども、阪神の選手には親近感がずっとある。若いときにいっしょにやっている。4、5年たった彼たちが何を思っていま野球をやっているのか、どう成長したのか興味がありました」 ―大山悠輔選手が不動の4番になりました。 「ロッテにいる時に何回か、『苦しんでいます』と周囲から聞いていました。黙々とやるタイプ。いい意味で頑固なので、だから岡田監督も4番にしているんだろうなあって思っています。やろうとしていることを彼はちゃんと持っていて、違う意見がきても『ボクはこう思います』と言える。自分の軸があって、いつも同じルーティンをこなしていると思いますね」 ―グラウンドで直接指導する場面はあまりありませんが、どのようなときに選手と話をしていますか。
「基本的に教え魔なんでね。聞いてきたらずっとしゃべってます。僕もすごく教えたいですよ。でもみんな自分の論理を持っているので、全員には当てはまらない。監督が打線としてやってほしいこと、こういうときは強引にとか、こういうときは3球目ぐらいまで待ってくれよということは一緒だと思う。でも、脇を締めなさいとか開けなさいとか、グリップを上にしなさいとか下げなさいとか言い出したら、全員違うので」 ―四球が大幅に増えました。 「突出した数字がないのに得点がめちゃくちゃ多い。打線で点を取るというのをちゃんとやってくれているんじゃないかなと思いますね。ボール球を振るなというのはスコアラーさんとの共同作業。スコアラーさんが言うことを耳に入れることは大事だけど、ゲームのときにこちらが『何で振るねん。振るなって言うたやろ』というのは邪魔。近本(光司)は強引にいっていいとき、わざとボール球を振る。中野(拓夢)も大山も。途中でフォアボール狙いにいったら選ぶ。そうやってくれたら、ボール球を振らないことを意識していても、打ちにいくときの反応に邪魔にならない。選手だって分かってる」 ―自身の現役時代もそうでしたか。