【不動産投資のワナ】事件番号「ヌ」、事件番号「ケ」…専門家も回避する「競売物件」購入のコワい実情〈不動産専門弁護士が解説〉
一般的なサラリーマンの副業としても人気の不動産投資。堅調な収益があげられるようになると、新たなチャレンジとして「お宝物件」を狙った「競売物件」の購入に興味を持つ方もいるようです。しかし、競売物件は不動産のプロもためらう、かなりの危険度をはらむものだといえます。不動産を専門領域とする、山村法律事務所・代表弁護士の山村暢彦氏が解説します。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
競売物件=「お宝物件」という認識は正しいか?
筆者は仕事柄、不動産投資をされている方から「競売物件には〈お宝物件〉があるのでしょうか?」という質問を受けることがあります。また、不動産投資家に向けて、競売物件を購入して利益を上げるスキームを解説した記事やSNS投稿を目にすることもあります。 そもそも競売物件とは、ローンなどを支払えなかったり、裁判所で命じられた金銭を支払うことができなかったりして、裁判所を通じて売りに出される物件のことです。要は、裁判所を通じて、強制的に売りに出されている物件のことをいいます。 一般的に「競売物件は市場の実勢価格よりも安い」といわれており、そのため「お買い得」との認識が持たれているようですが、安くなるのには理由があります。 1つ目の理由として、売主が負うべき義務や責任が発生しないため、買ったあとに責任を取ってもらえる売主がいないということがあげられます。買ったあとに雨漏れを発見しても、その損害を請求する売主がいないのです。 2つ目は、荷物が残っていたり、不法占拠者がいたりしても、買主が自分で対処する必要があるということです。仮に、荷物が残されていたり、不法占拠者がいたりする場合には、建物明渡請求訴訟を起こし、その訴訟で勝ったうえで、強制執行手続にて残置物を除去、あるいは不法占拠者を退去させることが基本的な手続です。 もっとも、自分の手元に売買代金が入ってくる一般的な売却とは異なり、競売手続の際には、所有者がそもそも競売手続に反対のため不法占拠者等が類型的にいることが多く、毎度毎度裁判まで必要とすると手続が煩雑になるため、簡易な手続として、「引渡し命令」手続というものが設けられています。 とはいえ、買ったあとに「買主が自分で残置物や不法占拠者の対応をしなければならない」ということが、購入のハードルを上げる理由です。
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