《ブラジル》祈りで先住民の脳損傷完治=奇跡と認定、バチカンで神父を聖人に
先住民族ヤノマミの男性ソリーノさんが1996年にジャガーに襲われて頭部の一部を失い、医師から絶望視されながらも、ジュゼッペ・アラマノ神父への祈りと同宣教会の修道女たちの看護とによって後遺症なく回復した。この奇跡はカトリック教会に認められ、アラマノ神父は今年10月20日にローマ教皇によって列聖(canonização、聖人に認める儀式)された。10月21日G1が報じた。 1996年2月、狩猟中のソリーノさんはジャガーの親子に遭遇し、背後から襲われた。この攻撃により頭皮と頭蓋骨の一部が剥がされ、脳の大部分が露出するという深刻な傷を負った。彼は医療チームから絶望視されていたが、コンソラータ宣教会の修道女らが献身的に看護し、ジュゼッペ・アラマノ神父への祈りを通じて奇跡的な回復を遂げた。 ケニア出身のフェリシタ・ムトーニ修道女は、現場に駆け付けた最初の人物だった。「先住民族の一人が、義理の弟がジャガーに襲われて怪我をしたということで私に電話をかけてきました。村に到着すると、血だまりで土の床に男性が倒れていました。彼の頭蓋骨は開いており、脳の一部がぶら下がっていました。私は優しく水で頭皮を洗い、唯一持っていた布地であるブラウスで彼の頭皮を縛りました」と語った。応急処置の後、病院搬送のための支援を要請。ヤノマミ地域は飛行機でしかアクセスできないため航空搬送された。 病院でソリーノさんを診察した医療チームは、脳損傷の影響により、後遺症を残さずに生き続ける可能性は低いと診断。だが、修道女たちは絶望の中でアラマノ神父への祈りを求め、「奇跡のみが希望をもたらす」と信じていたという。 ソリーノさんは現在約68歳で、後遺症なく生活しており、この回復はカトリック教会により「アラマノ神父の奇跡」として認められた。担当医のマリオ・サンタクルス氏は、ソリーノさんの回復には科学的な説明がつかないと述べており、「脳組織を失ったために運動機能障害や麻痺、知的障害が生じるはずだったが、検査の結果、彼は正常に回復し後遺症が皆無であることが確認された」と語っている。 教皇フランシスコは10月20日、バチカンのサン・ピエトロ広場でのミサ中に14人の新しい聖人を宣言し、その中にアラマノ神父が含まれている。 1851年にイタリアで生まれたアラマノ神父は、宗教奉仕と宣教活動に生涯を捧げ、1900年にコンソラータ宣教会を創設し、10年には修道女協会も設立。26年に死去するまで、アフリカやブラジルのヤノマミ地域など、世界中で宣教活動を行った。 ヤノマミ地域でのコンソラータ宣教会の活動は、60年代に始まり、ロライマ教区のエヴァリスト・スペングレル司教は、違法な採掘活動による健康危機におけるこのミッションの重要性を強調し、「ヤノマミ地域では、福音を直接布教するのではなく、文化尊重や対話を目的とした活動が行われている」と述べた。