ヤングケアラー実態調査の結果

　大人に代わって家族の世話などを担い、困り事を抱える「ヤングケアラー」が県内に少なくとも2100人いるとの推計を県がまとめた。2021年の前回調査では約千人で、ほぼ2倍になった。県は「ヤングケアラーの認知度が高まり、自分もそうだと気付く子どもが増えた」とみている。今後、調査結果の分析を進め、相談の呼びかけや支援の充実を図る。 　調査は県内の公立、私立に通う小学5年～高校3年の全児童・生徒7万8826人が対象。タブレット端末を使ってウェブ上でアンケートをした。6、7月に実施し、6万6474人が回答した。 　家庭内で世話をしている相手がいるのは4506人。このうち、勉強や睡眠の時間が取れない、友人と遊ぶことができないなどの影響を受けていると答えたのは1197人で、無回答も576人いた。 　県はこの両方を合わせた1773人をヤングケアラーに該当する状態と判断。全回答者に対する割合（2・7％）から、調査対象者全体では約2100人になると推計した。 　県は21年度に初めて調査をした後、22年度に電話やLINE（ライン）で相談を受け付ける専用窓口を開設。児童・生徒に相談先を記載したカードを配布している。23年度には専門アドバイザーが各市町村を回り、支援を強化。県内18市町村もそれぞれ相談窓口を設けた。 　23年度に寄せられた相談は計178件。うち49件は家事支援やデイサービスの利用などにつなげ、子どもの負担軽減を図ったという。 　一方で、今回の調査でヤングケアラー状態とされた子どもの48・0％が「相談経験がない」と回答。理由は「相談するほどの悩みではない」（73・9％）が最も多かった。 　ヤングケアラーという言葉に対する認知度は66・0％で、前回調査の約29％を大きく上回った。県こども・家庭支援課は「認知度は高まっているが、自覚していても相談できない、しない子どもがいるのも実情。相談窓口の周知や各関係機関と連携しながらサポートを強化していきたい」と話している。