「山崎」と合わせ100億円投資 “白州”蒸溜所リニューアルの背景【WBS】
“急には造れない”ウイスキー
なぜウイスキーは生産が追いつかずに品薄なのでしょうか。外国での人気の高まり以外にも実は大きな原因があります。 もともとウイスキーの国内市場は2000年代前半、若者のウイスキー離れで低迷していて、このときウイスキーメーカーは原酒の生産を大きく減らしました。しかし、2008年にサントリーがハイボール復活プロジェクトを始めると転機が訪れます。ウイスキーをソーダで割り、アルコール度数を低くしたことで若者を中心に人気が出ます。そこに海外での評価の高まりも追い風となって、世界でも飛ぶように売れていきました。 しかし売れるようになったからといって、ウイスキーは急には造れません。市場で販売するまでには、長ければ数十年単位の原酒の熟成期間が必要になります。国内メーカーは需要が低迷していた2000年代前半までに原酒の生産を大幅に減らしていたため、人気が回復したとしても大幅な増産に転じることはできませんでした。このため今、供給不足になっているのです。 供給不足を解消するためサントリーは2023年から白州蒸溜所などに100億円を投資。ニッカは60億円を投資し、貯蔵施設を増強しています。ブームが続く中で供給不足を解消し、勢いを維持できるのかが課題です。 ※ワールドビジネスサテライト