YouTube&書籍が超話題「フェイクドキュメンタリーQ」が描く「現実を破壊し、隠された内臓を露わにする快感」
『フェイクドキュメンタリーQ』書籍版の売り上げがすさまじい。初登場でアマゾン1位発売わずか1週間で5万5000部という驚異的スピードで売れている。 【マンガ】19歳理系大学生が「フィールドワーク中」に死にかけた「ヤバすぎる体験」 『フェイクドキュメンタリーQ』は、名前の通りにドキュメンタリーを装ったドラマだが、フェイクドキュメンタリーというジャンルが、今ホラー界で大ブーム。小説やイベントへとフェイクな世界は広がっている。同作品を監督した寺内康太郎氏に話を聞いた。
YouTube発の連続ドラマ
『フェイクドキュメンタリーQ』はYouTubeで発信されている連続ドラマだ。その異様な気味の悪さがホラーファンの口コミで広がり、チャンネル登録者数およそ30万人、シーズン1、2合わせて 全22話の視聴回数は1000万回を超えている。 またテレビ番組としてスピンアウトしたテレビ東京の『イシナガキクエを探しています』は、イシナガキクエという架空の人物を架空のテレビ公開捜査番組で探すという、凝ったフェイクになっている。 フェイクドキュメンタリー(モキュメンタリーとも呼ぶ)とは、ドキュメンタリーの手法で作ったドラマのことで、映画『ブレアウィッチプロジェクト』が有名だ。魔女が住むという森へ調査に入った大学生3人組が失踪、彼らの残したビデオテープが発見され、そのテープが映画『ブレアウィッチプロジェクト』であるという設定だ。 日本では心霊投稿動画というふれ込みのビデオが売れ、車載カメラやネット配信の動画に幽霊が映り、「お気づきになっただろうか」のフレーズとともにリプレイするという形式が、もはや様式美と化している。 現在流行っているフェイクドキュメンタリーは、一種の推理物だ。映画化もされた雨穴の『変な家』や背筋の『近畿地方のある場所について』は小説だが、さまざまな素材の断片からできている。雑誌や新聞の記事、ネットの書き込みなどが少しづつ重なり、怪奇な事件の全貌を明らかにしていく。読者は物語の中の犯人を捜すのではなく、物語の構造自体を組み立て、物語を推理するのだ。 『フェイクドキュメンタリーQ』の書籍は映像版とセットになっていて、立体的に物語を構築する。映像の中で語られなかった撮影時の裏事情(もちろんフェイクである )が語られ、別の断面が語られ、映像だけではわからない奥行きが紙面から立ち上がる。 随所にQRコードが印刷され、そこから映像に飛べるようになっている。スマフォ片手に読む「ノンフィクション」という体裁の「フィクション」というユニークな作りになっているのだ。